性暴力に走るのは、いたって「普通の人間」だ 映画「月光」、加害者の描き方に込めた思い

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――佐藤さんは完成した作品を見て、どんな感想を持ちましたか。

佐藤:完成品を見た後、『どうだった?』と小澤監督に聞かれたのですが、最初はなにも答えられませんでした。実は、撮影時は集中し過ぎていたので、初めて作品を見た時、カオリでいた日々の事をなかなか思い出せなかったんです。久しぶりにスクリーンでカオリと出会って、あの時の様々な想いが少しずつこみあげてきました。

でも、素敵な映像や、ユウを演じた(石橋)宇輪ちゃんのはかなさとか、きれいさとか、みなさんの魅力的なキャラクターのおかげで、最後まで観ることができました。ディープなストーリーですが、それをちゃんと、観ている人に届くよう、まろやかにしてくれる魅力的な映像や音楽、演技があります。素敵な作品だなあと思いました。

「途中で何度も目をつぶったけど、希望をもらえた」

――試写会に来た方からは、どんな感想が届いているのですか。

小澤:被害者を支援しているような福祉関係者の方にも見てもらっていますが、『映像の力を思い知らされた』といったようなご感想をいただくことが多いです。被害者への援助で現場に入っている方も、性虐待や性暴力の現場を実際に見ているわけではなく、想像の世界でしかありません。映像を見たことで、『あの子が言っていたのはこういうことだったのか』と分かって、被害者への向き合い方が変わったと言ってくれる方もいました。

――性暴力の被害者の中にも、この作品を観る方がいるかもしれません。

小澤:カオリやユウのような経験をしている当事者の方からは、『観られない』という声も聞きます。もちろん、無理して観てほしいとは言えないです。ただ、試写会に来ていただいた性虐待被害者の方から、『観るのはすごく辛くて、途中で何度も目をつぶったけど、すごく希望をもらえた』とメールが届いたんです。

僕は、最後はやっぱり希望を見せたい。ラストシーンのカオリの表情や、ユウの背中を映したシーンも、僕としては希望を描いています。被害を受けて、閉じこもっている状態から、2人が頑張ってその先を歩いて行くというところに希望を見出したかった。それを感じ取ってもらえたのかなと思います。

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