安倍内閣の抱える3つの急所

経済、外交、政治改革の行方は?

負担を説明できる能力を磨け

自民党内に、2009年の大敗の分析や総括と、その総括を踏まえた政策決定や政権運営のあり方を見直す動きがなく、政権復帰後、どんな政治を目指すのかはっきりしない。

英国の労働党はサッチャー政権時代、野党転落の原因を徹底的に研究し、党改革を実現して、ブレア党首のときに政権に復帰した。2大政党制下の政党は、野党時代に敗北の原因を研究し、自己改革していかねばならない。ところが、自民党が野党時代にやってきたことは、民主党批判ばかりだった。

薬師寺克行(やくしじ・かつゆき)
東洋大学社会学部教授
1955年岡山県生まれ、東京大学卒業後、朝日新聞社に入社。論説委員、「論座」編集長、政治部長を経て、11年から現職に。

自民党はかつて既得権を大事にすることで長期政権を維持してきた。しかし、既得権の恩恵に浴する人の数はしだいに減ってきた。つまり、自民党は国民の一部を代表するにすぎない政党に陥り、政権を失った。

それなのに、TPPや国土強靭化、憲法改正などの政権公約を見ると、1980年代まで自民党を支えてきた人たちにターゲットを絞っているとしか思えない。時代の変化についていけていないようだ。

これからの経済は低成長が続き、グローバル化、少子高齢化も著しく進む。候補者が財政的な裏付けのはっきりしない、甘い話ばかりする選挙のあり方と、自分に都合のいい公約を出してくれる政党以外は評価しない有権者の意識を変える必要がある。

日本の財政は、国の予算の半分を借金で賄い、ギリシャ、イタリアよりはるかに悪い状況だ。日本は国民においしいものを次々と提供できる国家ではない。これからの政治家は負担を国民に説明する能力が問われる。そういう意識を有権者も共有しないと、国が滅びていくだろう。

(週刊東洋経済2012年12月22日号

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