アマゾンが秘密にする物流センターの正体

配送網を全て手中に収め始めたECの王者

アマゾンが上場した1997年、同年にデラウェア州ニューキャッスルで物流センター(1万9000㎡)を設立すると同時に、シアトルにある物流センターを1.7倍(元々4600㎡)に拡張させることに成功。目的は注文の95%を当日出荷にすることにあった。新拠点は東海岸の出版社が近いため、在庫を20万アイテムに増やす必要があったからだ。

その過程では、アマゾンとバーンズ・アンド・ノーブルの物流戦争があったことも忘れてはならない。アマゾンの物流がレベルアップしたことにより、書店最大手のバーンズ・アンド・ノーブルが1998年、アマゾンの仕入れにおける約60%(1997年、1998年は40%)を占めていた書籍卸最大手のイングラムを6億ドルで買収すると発表したのだ。そこの買収はFTC(米連邦取引委員会)に独占禁止法で却下されたが、既存の書店をはじめ小売店関係者がアマゾンを意識し始めた、象徴的な出来事だったと言えるだろう。

物流センター内の仕組みも進化

物流センターの拠点数は、その後、増え続け、冒頭のとおり、消費立地型へのシフトが進んでいる。物流センター内の仕組みも進化している。2012年にキバ・システムズを760億円で買収した。

現在、アマゾンの物流センターでは、ルンバのようなロボットが保管棚を持ち上げ、ピッキングする人のところに運んでいる。広大なエリアを人が歩くこと無く、商品の梱包を可能にしているのだ。

最近では、米国でトレーラーを数千台購入したり貨物飛行機(ボーイング767F)を約20台リースしたりするという報道もされている。拠点間の輸送をトレーラーや貨物飛行機で行い、アマゾン自身の配達車両が購入者宅に配達するなどして、アマゾンは配送ネットワークを完全に自社でコントロールしようとしている。

その考えの根底には顧客中心主義(カスタマー・セントリック)がある。アマゾンはどこまで進化していくのか。それは物流関係者のみならず、あらゆるビジネスにかかわる人たちが、関心を抱くテーマになりつつある。

(敬称略)
 

ビジネスの人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • ほしいのは「つかれない家族」
  • 野口悠紀雄「経済最前線の先を見る」
  • 買わない生活
  • インフレが日本を救う
トレンドライブラリーAD
人気の動画
レヴォーグ1強に見た和製ワゴンの残念な衰退
レヴォーグ1強に見た和製ワゴンの残念な衰退
ウーバーイーツ配達員の過酷
ウーバーイーツ配達員の過酷
イオン「フジ実質買収」で岡田会長が語った未来図
イオン「フジ実質買収」で岡田会長が語った未来図
飲食業界、失敗する店と成功する店の決定的な差
飲食業界、失敗する店と成功する店の決定的な差
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
空き家にさせない!<br>実家のしまい方

少子高齢化や核家族化、過疎化で今や7戸に1戸が空き家に。放置された実家はもはや相続したくない迷惑資産。売るか、貸すか、それとも活用するか。実家の片付けから空き家の再生まで幅広く取り上げ、対策例をご紹介します。

東洋経済education×ICT