ネット通販「即日配送」の不都合な真実 超速便が思わぬ無駄を生んでいる
シリコンバレーの起業家、ルチート・ガーグは、頻繁にインターネット・ショッピングを利用している。だが、それはちょっと間違っているのではないかとも感じている。というのは、玄関先で荷物を受け取るたびに、罪悪感と苛立ちのもとと向き合うことになるからだ――段ボール箱だ。ガーグは一日に複数個を受け取ることもある。
配送された荷物を開くと、その中にはまるでロシア人形のマトリョーシカのように、箱の中にまた別の箱が入っていて、彼が購入した電気製品やデオドラント、洋服や食品を保護している。ガーグは箱をきちんとリサイクルしているが、それでも気になって最近ツイッターでその思いを言葉にした。
科学者や政治家の一部にも同じ疑問を持っている人がいて、社会における長期的な環境への影響を考えている。現代の経済はますます、人々の「すぐに手に入れたい」という気持ちに応えるようになっており、すると人々はちょっと欲しいと思うものでも、緊急に手に入れられると考えるようになる。
スピードを競うネット通販
インターネット通販業者がいま競い合っているのは「スピード」だ。以前、フェデラルエクスプレスのコマーシャルでは「絶対に、どうしても翌日までに届けたい時に」と言っていたが、そのフレーズがまるで大昔の馬車時代のものに聞こえるような状況だ。
アマゾンは昨年12月に出したニュースリリースで、「これまでで最も速い配達」を自慢した。スターバックスのバニラ・カプチーノの4個パックを渇望していたマイアミの顧客に、品物を10分ちょうどで届けたという。
グーグル・エクスプレスは主要10地域で、玩具や医薬品、ハードウエアやペット用品など、数十の店舗から2時間弱で配達している。サンフランシスコの新興企業、ポストメイツは、1時間未満での配達を約束する。同社は12月には、100万個近くの荷物を配達した。