ネット通販「即日配送」の不都合な真実 超速便が思わぬ無駄を生んでいる

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市場規模3500億ドルのインターネット通販業界は、この5年間で2倍に拡大した。その成長をリードしているのはアマゾンだ。同社のプライム会員数は、ある推計によると5000万人を超えているという(さらに、より速い配達を行う「プライムナウ」は、たいていのものが「1時間で届く」とウェブサイトでうたっている)。

ウーバーは同社が新たに始める宅配サービス「ウーバー・ラッシュ」を、「あなたのオンデマンドの配達車両」と呼ぶ。ジェット・デリバリーは「ホワイト・グローブ」サービスで、2時間未満の配達を行う。インスタカートは食料品を1時間未満で届ける。

排出ガスは減るのか、増えるのか

2014年に米国で生産されたボール紙は3540万トンにも及ぶ(写真:Jim Wilson/The New York TImes)

こうしたインターネット通販による環境コストのひとつが、段ボールの増加だ。2014年に米国で生産されたボール紙は3540万トンで、そのユーザーとして急成長しているのがネット通販会社なのだ。環境コストにはさらに、配送サービスによって生じる排出ガスもある。

「配送トラックの大群が、街中をつねに走り回っている」。こう話すのは、カリフォルニア大学デービス校運送研究所の創設ディレクター、ダン・スパーリングだ。彼は運送会社と政府による新しいタスクフォースを監督しており、このタスクフォースは、ネット通販などの配送による排出ガスの削減に取り組んでいる。

スパーリングは、配送から生じる環境コストの責任は、スピーディな配送を提供する企業だけでなく、消費者にもあるという。「持続可能性の観点から見ると、私たちは間違った方向に進んでいる」。

だが、「段ボール経済」の影響を測定するのは難しい。たとえば、トレードオフが存在する可能性がある。オンラインでの購入が増えれば、自動車の利用は減るかもしれない。加えて、宅配サービス業者は最も効率的なルートを見つけ、燃料費と排気ガスを抑えようとするはずだ。アマゾンはこの点に関して、同社の巨大な倉庫から直接顧客に配送することにより、何千もの店舗への配送をする必要がなくなると述べた。

しかし、スパーリングや他の研究者らによると、消費者はこれまでのところ以前と同程度に実店舗に買い物に出かけ、その一方で、オンラインで買い物をしているようだという。

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