「安眠ルーム」で藤田観光がタニタとタッグ ターゲットは眠れない宿泊客
共同開発相手の3社はそれぞれの得意分野で安眠のための環境を提供する。
アロマジャパンが提供する「アロバランス」は、オーストラリアのクイーンズランド大学およびシドニー大学の脳神経研究チームが開発した、天然由来のアロマオイルのスプレー。森林のようなさわやかな香りには、ストレスを感じると活性化する交感神経を落ち着かせる働きがあるという。香りによる効果が6時間程度続くため、眠る前に寝具や空間にスプレーすることで、朝までリラックスした眠りをサポートしてくれる。
デラの提供する「メンタルフィジックシリーズ」は、心(メンタル)、体(フィジカル)、音楽(ミュージック)を合わせた造語で、同社オリジナルのヒーリング音楽。今回のプランでは、累計40万枚を売り上げている「究極の眠れるCD」が使用される。川のせせらぎや波の音など「1/f(エフぶんのいち)ゆらぎ」の効果で、心地よい眠りへ誘導するという。
タニタの睡眠計で「見える化」
プランの目玉の1つが、睡眠状態の「見える化」だ。タニタが新たに発売する睡眠計測器「スリープスキャンsl-511」が、睡眠時の呼吸、脈拍、体動をもとに睡眠状態を分析する。計測はベッドに入ると同時に始まり、目が覚めてベッドから出ると終了するため、宿泊客自身が複雑な操作を行う手間はない。計測後はインターネット上の特設サイトにアクセスし、自身の睡眠状態やタニタが独自に割り出した「睡眠点数」などの情報を見ることができる。
近年、ビジネスホテル市場は競争が激化している。東京では2008年に370軒だったビジネスホテルが、11年には570軒まで増加。一方でインターネット予約が主流となったことから各ホテルの価格比較が容易になり、より価格競争が激化している。
そうした中でビジネスホテルは、ビジネス客のみならず、観光客の利用も増えている。「ただ泊まるだけでなく、普段自宅で体験できない付加価値を求める傾向にある」と藤田観光の松田氏は話す。これまでも多くのホテルが、化粧品メーカーなど異業種とのコラボレーションルームを展開しており、各社とも客室単価の向上につながるような新プランを模索している。
今回着目された「睡眠」も、日本で今注目されているキーワードの一つ。昨年8月、外資系製薬大手・ファイザーが、20代以上の男女4000人を対象に実施した「不眠に関する調査」では、実に40%以上の人に「不眠症の疑いがある」という結果が出たほど。
宿泊サービスに限らず、不眠に悩む人をターゲットにした商品、サービスは、今後ますます増えそうだ。
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