牧原青年局長「逃げ切れる時代は終わった」 参院選で自民は若者とどう向き合うのか

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有馬晴海(ありま はるみ)/政治評論家。1958年、長崎県佐世保市生まれ。立教大学経済学部卒。リクルート社勤務などを経て、国会議員秘書となる。1996年より評論家として独立、政界に豊富な人脈を持ち、長年にわたる永田町取材の経験に基づく、優れた分析力と歯切れのよさには定評。政策立案能力のある国会議員と意見交換しながら政治問題に取り組む一方、政治の勉強会「隗始(かいし)塾」を主宰、国民にわかりやすい政治を実践

有馬:ぜひ主権者教育はやっていただきたいですね。若者の「政治への誤解」ということで言えば「政治家の給与は高すぎる」という批判も目に付きます。

でも、本当にそうでしょうか?昨今は素行に問題がある議員や経費で公私混同をする政治家などがあとを絶たないので、そう思うのは仕方ないかもしれませんが、若者に少しでも近い青年政治家としてはどう思いますか? 

牧原:政治家個人の給与ということについて言えば、いろいろな考えがあると思いますが、ひとつ認めてもらいたいのは、経費ですね。選挙区を持つ政治家なら、「(国から給与が支給される)公設秘書3人分で足りる」という政治家は、皆無だと思います。

私は私設秘書が5人居ますので、秘書は計8人ですが、社会保険料も半分は負担しますので、例えば私設秘書5人の月給や社会保険料などの合計支給額が仮に30万円だとすると、それだけで30×5×12ヵ月で1800万円必要です。このほかにも国政報告書(1回あたり約200万円)や車の経費など、さまざまなおカネが必要です。これをすべて今の政党助成金の範囲でまかなうことは、いまのままでは無理があります。政治をやればやるほど「パーティー券」を売って政治資金を集めないといけない、という構造は変わっていません。

有馬:若者といえばネットですが、例えば米国の選挙では、ひとことでいえばネットは集金用の手段ですね。自民党は、ネット関連ではどんな活動をしていますか?

牧原:自民党は、「カフェスタ」などをいちはやく導入するなど、ネットと選挙という点では、日本ではもっとも成功している政党だと思います。昨年11月からは「オープンエントリー」プロジェクトも実施、つい先日(5月末)に参議院選挙の公認候補をネットで選ぶことが出来ました。政治家になるための敷居を低くしたことと、ネットを通じたキャンペーンを展開することで、政治への関心を一定程度広げることができたと思います。また、ネットは双方向なので、貴重な提言をダイレクトにいただける機会が増えました。ただそれで経費が削減できたかと言うと、そう簡単ではありません。

有馬:まじめに政治活動をすればするほど、収支が「火の車」だということを知ってもらうためには、政治家の活動にじかにふれてもらうのがいいですよね。それが「政治家の給料は高い」という誤解を解くことにもつながります。

牧原:いま自民党では国政レベルでは実施している「インターン制度」(短期間の秘書見習い制度)を地方議員のレベルでもぜひやってもらうよう、お願いをしていて、結構な数の賛同を地方議員さんからいただいています。

自民の若手は「従来のレールからの解放」を提言

有馬:若者が政治に興味を持たない理由のひとつには、この国を覆っている閉塞感も影響していると思います。官僚が作ったシステムに乗って、学校を卒業したらなんとなく社会人になって、残業に追われ、気がついたら中間管理職、定年、年金もらって……。今はこうした当たり前の話も難しくなりつつありますが、こうした枠組みではない生き方もある、ということを政治の側からも提案できないでしょうか?

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