有馬:私も今までよりも若い人が新たに選挙権を持つのはとても良いことだと思います。しかし、今の日本では30歳になっても、まだ「政治はよくわからない」などと言っている人が少なくありません。ましてや18歳や19歳の若者がいきなり選挙権をもらってもどうなのか、と正直不安に思うところがあります。
牧原:それは日本人全体の問題であり、「自分たちの力で民主主義をつかみとった経験がない」ために生じているのだと思います。「自分の一票なんて意味がない」という声をよく耳にしますが、私は、欧米諸国で民主主義を勝ち取ってきた国では、そんな言葉をひとことも聞いたことがありません。
また日本や他のアジアでは珍しくありませんが、例えば「30歳で親と同居している」というと、欧米では「信じられない」と驚かれてしまいます。「同居することが悪い」というのではなく、それくらい個としての独立を重んじる欧米と日本やアジアでは、「大人」に対する感覚が違うのだと思います。
政治への無関心の理由は「若者の勉強不足」?
有馬:最近、牧原さんも出演されたNHKの番組「18歳からの質問状」で、「政治はわからない」を連発する一部の若者がいました。
しかし「わからない」を連発するだけでは、実は社会に出たら一人前になれませんよね。最低限、知らないことは自分で調べて恥ずかしくない発言をするようにと心がけるものです。
例えば「TPP(環太平洋連携協定)」などは少し難しいかもしれませんが、政治に関しては、すべて何から何まであてがわないとダメなのでしょうか?それとも、どこか教育システムを変えるべきでしょうか?
牧原:いきなり選挙権を与えられて、何をすればいいのかわからない若者は決して少なくないと思います。若者たちだって、自分たちが勉強不足だと認識している人も少なくありません。
また、「政治とは何か」について、高校生までの間に学ぶ機会が十分確保されているのかどうか。もし社会人として生きていくために必要最低限のレベルも教えていない、ということであれば、抜本的に改革していかなくてはいけません。
有馬:日本の学校教育では、政治を教えにくい、教えてはいけないという風潮が根強いですね。
牧原:自民党では、かねてから「教員の政治的中立性を担保することが大事」だと主張してきましたし、昨年6月に改正公職選挙法で「18歳選挙権」が成立する前から、特命委員会を設置するなどして議論してきました。私自身は、公正公平な教育が実践されるためには、日教組(日本教職員組合)をいたずらに排除したりするのではなく、ディベート(公の場を通じた論争)を通じて、政治教育をしていけばいいと考えています。
例えば、たった一人の教員に政治教育を任せると、中立的な教育にならない恐れがあります。しかし、複数のクラスで複数の教員が合同で担当すれば、そうした問題は起きにくいと思います。
この問題に関して言えば、実は、青年局では3月に「学校の現場で主権者教育をすべき」との提言をまとめたところです。これらの政策提言は、従来の青年局の守備範囲を超える画期的なものです。
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