中国人留学生が米国でハマる「不正行為」の闇

教育制度の隙を突く成績偽装が横行

たいていの場合、大学の入試担当事務局には、こうした告発を精査するだけの人手が備わっていない。彼が入学したUCデービス校の場合、この秋の出願者は6万5819人もいるのだ。5人に1人は外国出身の学生である。対して同大学には7人の入試担当職員がいるだけだ。

それでもUCデービス校の入試担当職員であるミツコ・レナード氏は、元トランセンド従業員に「実際の証拠を提供できるのであれば、すべて検討する」という返信を送った。

偽の成績証明書

すると、5日後の2015年3月30日に告発者からの返信があり、21名の学生に関する情報を記載した217本の文書が添付されていた。添付ファイルのほとんどは、大学に提出された論文の複数のバージョンであり、告発者によれば、トランセンドの従業員が手を加えたものだという。

そのなかには、Rongが書いた論文の9種類のバージョンが含まれていた。原稿の変化を調べてみると、文法や文体が劇的に改善されていくのが分かった。このメールでは、Rongが在籍していた高校に関する「特別情報」が付されていた。

告発者は、Rongの両親はマクダフィ校での息子の「振るわない成績を隠す」ために、地元である中国の高校から「偽の成績証明書」を手に入れたと主張している。添付ファイルのなかには、マクダフィ校からの正当な成績証明書が添付されていた。

UCデービス校はこの時点ではマクダフィ校に連絡を取らず、Rongの入学を認めた。

マクダフィ校のグリフィン校長によれば、何カ月も経った9月下旬、UCデービス校の担当者からRongに関する問い合わせの電話があったという。この電話があったのは、ロイターが公文書開示請求により、UCデービス校の入試担当事務局と元トランセンド従業員の告発者とのやり取りを入手した直後のことだった。

UCデービス校の広報担当者は当初特定の学生について語ることはできないと言っていたが、後になって彼はRongが秋学期終了後の2015年12月に退学する予定だと認めた。

Rongはコメントを拒否している。彼の父Yuanxin Rongは、昨年11月に深センで行ったインタビューで、UCデービス校が息子を退学処分にしたことを認めた。「大学側は、私たちが(出願の際に)正しい情報を提供しなかったと主張している」と父親は語る。

父親は、息子が中国の高校からの偽の成績証明書を提出したことも認めている。トランセンドから、マクダフィ校の平均評点が低いことを理由に、中国の高校から偽の成績証明書を取得するよう家族にアドバイスがあったという。

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