中国人留学生が米国でハマる「不正行為」の闇 教育制度の隙を突く成績偽装が横行

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だが、調査に近い関係者によれば、不正行為の容疑をかけられている学生のほとんど、恐らくすべてが中国籍だという。法学や経済学など少なくとも3つのオンライン講義における不正が告発されているという。調査対象となっている中国人学生のうち3人は、ロイターの取材に対して、中国人が経営する業者に替え玉受験を頼んだという。

中間試験で替え玉受験を依頼したとされる4人目の中国人学生に対し、大学は8日、退学を勧告する旨の書簡を送った。「これまでの行動によって、今後の振る舞いについても疑念が生じているため、本学は、貴殿が将来的に不正行為を行わないという確信を持つことができない」とある。学生ビザで米国に滞在している外国人が退学となった場合、連邦移民法により本国送還となる可能性がある。

もてあそばれる米教育制度

アイオワ大学での大量不正行為が示すように、暗躍する東アジアの業者たちは、入学試験での不正や、出願書類の捏造、代理出席・代理受験による単位取得によって米国の高等教育システムを腐敗させている。ずるがしこい業者たちは、学生たちが姑息な手段で大学に潜り込むことを支援するだけではない。大学を卒業させるための支援も提供しているのだ。

こうした業者が成功を収めているのは、2つの交錯する利害に食い込んでいるからだ。中国人のあいだで海外留学の需要が高まっていること、米国の大学が、学費を満額払ってくれる外国人学生を受け入れて利益を上げたいと考えていることだ。

一部の業者は大学入試で標準的に用いられているSAT(大学進学適性試験)の弱点につけ込んでいる。試験で不当な優位を得られるように、顧客に事前に問題を流しておくのである。

さらにロイターは、学生による出願書類の作成を支援する中国国内の業者を突き止めた。出願用の小論文を修正や代筆、高校教師からの推薦状に手を加えたり、さらには偽造の高校成績証明書を入手するよう学生にアドバイスすることさえある。他の業者は、入学後も講義の代理出席を有料で引き受けるなどの不正な支援を続けていた。

「外国、特にアジアからの学生の現実として、出願書類が本物か、論文は本人が書いたものか、試験会場に現れる人物が出願者本人か、といった懸念がある」と語るのは、バージニア州アーリントン全米大学入学カウンセリング協会の最高経営責任者であるジョイス・E・スミス氏だ。

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