中国人留学生が米国でハマる「不正行為」の闇

教育制度の隙を突く成績偽装が横行

ロイターはマクダフィ校におけるRongの成績証明書を調べてみた。学校側は本物であると証明してくれた。2014年4月時点での総合評点は4点満点中2.8点で「B」相当だったが、ラテン語と物理学の「D」が汚点となっている。彼は2015年に卒業するはずだったが、残り1年の時点で中退してしまった。

2014年3月、彼は「存善德教育」という業者のクライアントになる。中国人学生の米国大学への入学を支援する業者で、「トランセンド・エデュケーション」という名でも知られる同社は、深セン市の金融地区にある高層オフィスビルの25階に入居している。

多額の手数料

創業者のKevin Li氏とMichael Du氏は、どちらも米国の一流公立大学の1つであるカリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)に在籍していた。Li氏によれば、米国の大学への出願について、中国人学生向けの広告を打ち始めたのはUCLA在学中だったという。Du氏からは、「自分はもうトランセンドの事業には関与していない」と告げるメール以外にはコメントを得られなかった。

両氏が深セン市でトランセンドを立ち上げたのは約5年前である。Li氏の話では、トランセンドは年間約40人の顧客と契約しており、1万2000ドル─1万8000ドルの料金でサービスを提供しているという。同氏の説明によれば、サービスの内容は学生への助言や、カウンセリングである。

受領書を見ると、Rongの両親がトランセンドに払った金額は約1万3700ドルである。ロイターがメールの記録を調べたところ、この業者の助けを借りて、Rongは少なくとも15の米大学に出願している。彼は2015年、カリフォルニア大学(UC)デービス校への入学を認められた。

2015年3月、米大学100校以上に、トランセンドの元従業員と称する匿名の人物からメールが届き始めた。そこには、Rongを含む約40人の中国人入学志願者についての詳細が記されていた。

この告発者は、一部の大学に宛てたメールで「このメールを送るのは、Xuan Rongという学生が、米国の大学に出願する中国人学生の出願書類を代筆し、詐欺的な出願を行っている会社である存善德教育の影響下にあるということをお知らせするためだ」と書いていた。

告発メールによれば、Rongは出願書類のなかで深セン市中心部の高校に在籍し、1年・2年のときに平均評点「A」を維持していたと書いているが、実際にはマサチューセッツ州のマクダフィ校に在籍していた、という。

そのメールには、2種類の成績証明書が添付されていた。マクダフィ校の本物と、深センにある高校のものである。どちらの成績証明書にも、1年次と2年次の成績が記されていた。しかしその当時、Rongは深センの学校には在籍していない。

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