「英語格差」を乗り越えるための新常識とは? 植えつけられた苦手意識はこう取り除け!
読者からの最初の反応は、アマゾンに掲載されたカスタマーレビューだった。
最近の日本で推進されている教育改革における「英語教育の混迷の中で、私たち日本人のように英語を母語としない人たちがどのように英語に関わっていくことができればよいかを示してくれている良書」とあり、本書で感銘を受けた点として、ネイティブ・スピーカーの発音を過度に目指すのではなく、「自分の主張などをしっかりと持ちながら臆することなく日本人としての英語でコミュニケーションすること」が挙げてあった。
さらに「海外から日本にこれほど多くの人たちが訪れる時代です。他の国からの人々と英語を通じてコミュニケーションをとることができる楽しさも本書を通じて理解していただけると感じます」とあり、著者の意図をくみ取っての評をありがたく思った。
アマゾンのレビューや編集部に届いた手紙の中で、「英語格差」に触れた感想は少なかったが、大学教員から個人的なメールが来た。「日本社会における〈英語格差〉問題、たしかに深刻です。中高であきらめてしまった子の挫折感と絶望感たるや、想像に難くない。大人たちが母語で勝負しろ、と励ましてやれればいいのですが……」という自問自答であった。
現実を直視することが出発点
多くの感想が、「読むことの大切さ」「語彙を増やす方法」「文法知識の必要性」など具体的な学習方法についてであり、「英語格差」についての言及があまりないことは何を意味しているのだろう。英語に関心がある層は「英語格差」などにそもそも関心がない、あるいは、そのような否定的な話には関わりたくない、目を向けたくない、ということであろうか。しかし本来なら、英語を学ぶにあたっては、英語の置かれた位置、学習者が置かれている社会的環境などを捨象するのではなく、むしろ現実を直視することが出発点になるはずであろう。
読者からの手紙には、現役の英語教員からのものもあった。「自分が主体的に使える英語を目指すこと、自分に興味のある内容を英語で学ぶことが大切だと書かれていて、まさにその通りだと感じました。私自身、研究に取り組みながら中高大で英語を教える立場でもあります。そのため、この2点を実現するきっかけを教室内において作ることができるよう努力していきたい」と書かれており、私の思いが、拙著を通して、現実の英語の授業に生かされる可能性に、胸を躍らせている。
(講談社「本」7月号より)
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