月販600台でも国内生産、日産の意地 新型セダン「シルフィ」を投入

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日本では月間わずか600台の販売ということで、タイから全量輸入のラティオやマーチと同様、海外からの逆輸入で対応かと思いきや、実は日本向けは横浜の追浜工場で生産する。もっとも、月間1000台を切るような生産台数で、部材も国内から調達していては到底割に合わないため、多くの部品をタイや中国から輸入して対応する。とくにタイ工場の周辺には、日産が調達している日系部品メーカーの80%が生産拠点を構えており、部品の調達には何ら支障はないという。

日本以外の国では、原則として現地生産のため、逆輸入の選択肢も十分あったはずだが、志賀COOは「アジアのサプライチェーンを活用した日本のものづくりの新しい形として、国内での生産を維持するために追浜で生産する方式にした」と語る。

マザー工場として重要な追浜で生産

追浜工場は年間生産能力48万台を有する主力工場なから、生産台数は2011年度で約28万台、今年半ばからは量販車ノートの生産を九州工場(日産自動車九州)に移管しており、稼働率は大きく落ち込んでいる。追浜工場は単なる量産工場ではなく、世界に展開する日産のマザー工場として重要な役割を果たしているが、それでも一定の生産がなければ立ちゆかない。追浜工場の稼働を少しでも上げるために、シルフィが投入されたというわけだ。

縮小するマーケットで、海外部品を多用しながら意地の国内生産確保。日産が小さな火を灯し続ける新型シルフィは、日本の自動車産業が置かれた立場を象徴している。

丸山 尚文 東洋経済 記者

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まるやま たかふみ / Takafumi Maruyama

個人向け株式投資雑誌『会社四季報プロ500』編集長。『週刊東洋経済』編集部、「東洋経済オンライン」編集長、通信、自動車業界担当などを経て現職

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