津田大介「世界一の政治メディアを創る」 新世代リーダー 津田大介 メディア・アクティビスト

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だが、政治メディアを運営するには、最低でも年間5000万円のおカネが必要になるという。

「米国には、読者の寄付ベースで運営している報道機関がありますが、日本にそうした寄付文化はない。それに、誰かに出資してもらったおカネで運営すると、必ず口を出されてしまう。だから、自分でお金を稼いで『俺のメディア』を作るしかないんです」

そのための資金作りとして、11年9月から、メールマガジン「メディアの現場」を始めた。

「読者には、新しく政治メディアを作る目的でメルマガを作ったと宣言しました。だから、政治メディアへの投資として購読してくれる読者も多い。ある種のクラウドファンディングのようなものですね」

この率直さが、津田氏が多くの支持者を得る理由の1つなのだろう。

実際、読者は予想以上のペースで増え続け、「年間5000万円」という目標に着々と近づきつつある。おかげで年内には、政治メディアのパイロット版として、政治意見集約サイトがスタートできる見込みだ。

「僕が稼いだお金は全部人件費に消えるから、人からは頭がオカシイと言われますけどね(笑)」

働いても働いても私腹を肥やさず、日本の政治をよくするために立ち上がる――まるで聖人のようにも聞こえるが、津田氏はやはり、聞いているこちらがあきれるほど率直だ。

「世のため人のためだけが動機ではない。自分のためでもあるんです。政権交代から始まり、地震、第三極の台頭など、今、ようやく政治の季節が来た。だから、次は『政治』と『ネット』の組み合わせで勝負しようと思った。この両方に詳しい人は、そうそういないですから、新メディア立ち上げは、僕自身の生存戦略でもあるんです」

よくキャリア論では、自分のやりたいこと、得意なこと、社会に貢献できることの3つが重なったとき、最高の成果と幸せが得られると語られる。津田氏の新しい仕事は、もしかしたらこの幸運な組み合わせになるかもしれない。

(撮影:梅谷秀司)

佐藤 留美 ライター
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