津田大介「世界一の政治メディアを創る」 新世代リーダー 津田大介 メディア・アクティビスト
政府の審議会参加は、津田氏が「ソーシャルメディアの寵児」に飛躍する転機にもなった。ツイッターを報道目的で使った「最初の人」になったのだ。
「審議会は政策が決まる大事な場なのに、マスコミはほとんど来ない。今日は絶対に報道してほしい重要な話をしている日にも、傍聴席を見上げると記者がいないんです。ちょうど僕は07年の5月というかなり早い時期にツイッターを始めていたので、だったら自分が報道しようと、審議会のリアルタイム中継を行ったのです」
これがユーザーの間で評判となり、日本でネットによるリアルタイム中継がはやるキッカケをつくった。こうして、いつしか津田氏は、「ソーシャルメディアの専門家」として、不動の地位を確立するようになった。
今では、ラジオやテレビのレギュラーを持ちながら、3つの大学で教鞭を取り、会社経営と任意団体の代表も務め、あまたの著書や記事を書き、寝ている時間(睡眠時間は2~3時間)以外はひっきりなしにツイッターでつぶやき続ける。ただのジャーナリストでも大学の先生でも、DJでもない、まさに「メディア・アクティビスト」としか名乗りようがない。
次の組合わせは、「政治×ウェブ」
そして、ここへきて今度は「政治とウェブの組み合わせ」で勝負すると言う。
東日本大震災が起きたとき、津田氏はソーシャルメディアの専門家としてソーシャルができることをあらためて模索した。現地入りして、ニコニコ生放送で現地の惨状や現地の人の声を伝えたりもした。だが、そのかいもなく、復興は思うように進まない。
取材したカキ漁の漁師は、実際に水揚げが復活したのに、震災で破壊されたままの、鉄筋むきだしの作業場での作業を余儀なくされていた。役所に早く直してくれと言っても、『港のカサ上げ作業をしないと新設は許可しない』と、前例踏襲的な答えしかもらえないからだと言う。
「やはり、いつまでも政治を『お上』に任せている場合ではない。政治のウェブメディアを創り、民意を掬い上げ、官僚や政治家に投げかけて、双方向で政治を動かす必要があると痛切に感じました」
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