ドラッカーも語らない、すごい不合理の解決法 新世代リーダー 西條剛央 「ふんばろう東日本」代表
方法の原理でいくと、より上位のものは何かというと憲法です。ここから考えると、原発の推進は幸福追求権や住居選択の自由といった憲法に違反しているのだから、ダメだということになります。
しかし現在は、「経済成長」や「電気の供給」という各論と、憲法にうたわれている、国を率いるリーダーが絶対的に追究しなければならない「国民の幸せ」が同じ天秤にかけられて議論されてしまっているのです。
さらに解決策を探るには、双方の「関心」に着目する必要があります。原発の反対派は「リスクから身を守る」ということ、推進派は「経済の発展」に関心があります。
この際に「背景にどういう関心があるから、そう考えるのだろうか」という問いを立てることができます。すると、経済をまわしながら原発を止めることはできないのか、という議論を始めることができます。
例えば、原発の横に火力発電所を建てれば、従来の送電線を利用しながら雇用も創出できる。双方の関心を満たす方法がおのずと見えてくるのです。
「トップダウン型」も「多数決型」も採らない
――「ふんばろう」の活動でも時間が経つにつれ、内部でのいさかいが起こるようになった。すると西條氏は組織のリーダーとして、構造構成主義の理論を実践し、トラブルの削減に努めた。
例えば、支援者の情報交換ツールであったフェイスブック上に「トラブルをなくすための7カ条」を掲載。心理学の見地から「質問は気軽に、批判は慎重に」と提言。仕事量の違いなどで対立する支援者たちに、「被災者支援を目的としている人は味方です」として、復興を支援するという「目的」を共通化しているのだから、認め合い支え合おうと呼びかけた。
私が組織運営の際に気をつけたのは、トップダウン型も多数決型も採らないということです。それぞれに弊害があるためです。
まずトップダウン型はリーダーが間違ったらおしまいです。リーダーがどこかで間違う可能性は高いし、よいアイデアを誰かが思いついたとしても、なかなか採用されません。多数決型でも新しい考え方が採用されないというデメリットがあります。新しい考え方をする人は少数派ですから。さらに、多数決で51:49になったとする。すると、半分の人は納得できないままやらされることになる。
そこで「ふんばろう」が採ったのは第3の道、真っとうな質を問う議論の方法です。まず、「おかしいと思う」とか「間違っているのでは」といった批判は受け付けません。代案を出していないからです。あくまでも「方法の原理」に従って、「この状況を考えたらこの目的はこうだから、こうした方がよい」という提案をしてもらう。
この方法のメリットは、みんなが自分の頭で考えて提案するようになることです。参加感があるので、モチベーションも上がります。反対派の人も、採用された案に勝る代案を出せなかったのだから、ということで納得します。
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