ユーロ「復活」の可能性は85% メルケル首相に近い有力経済人が診断 

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ユーロ圏崩壊の可能性は減少した

ただ、ドイツも日本と同様、高齢化の問題を抱えている。労働人口も減少している。課題解決にはまず、国内の持てる資源、女性、高齢者、そして若者を十分に活用することが大事だ。資本集約型経済への移行も重要である。

移民に関しては、オープンな社会へと変わってきた。資格を有する人達にはある程度、門戸を開いている。欧州各国でも中東欧、東南アジア、中国、アフリカからの移民が多い。だが、移民を受け入れるだけでは問題は解決しない。

――ユーロ圏崩壊の可能性はどの程度の確率と見ていますか。

もちろん、ゼロではない。ただ、6カ月前に同じ質問を受けたなら、「3分の1」と答えたかもしれない。現段階では10~15%に減ってきた。換言すれば、85~90%の割合で、ユーロ圏に健全性を取り戻すチャンスがあるということだ。欧州が世界で競争力を持つ地域であり続ける可能性が残っているのだ。

ローランド・ベルガー社は現在、欧州統合と成長プログラムへの取り組みを行っている。民間の資本を導入したインフラ投資を提唱。その規模はすでに、1兆ユーロ以上に達している。こうした投資をすれば、成長にもつながるはずだ。南欧諸国に成長プログラムを導入することで、ユーロ圏全体を健全かつ安定した経済圏へ戻していくことが可能と考えている。

世界経済はユーロ・EU圏と密接につながっている。EUのGDPは世界の25%に達する。世界の外貨準備高の26%はユーロだ。ユーロが崩壊して生き残ることができなければ、世界経済にも非常に大きな影響を及ぼすことになる。ユーロ危機を避けるのは世界経済のためでもあるのだ。
(聞き手:松崎泰弘=東洋経済オンライン)

 

松崎 泰弘 大正大学 教授

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まつざき やすひろ / Yasuhiro Matsuzaki

フリージャーナリスト。1962年、東京生まれ。日本短波放送(現ラジオNIKKEI)、北海道放送(HBC)を経て2000年、東洋経済新報社へ入社。東洋経済では編集局で金融マーケット、欧州経済(特にフランス)などの取材経験が長く、2013年10月からデジタルメディア局に異動し「会社四季報オンライン」担当。著書に『お金持ち入門』(共著、実業之日本社)。趣味はスポーツ。ラグビーには中学時代から20年にわたって没頭し、大学では体育会ラグビー部に在籍していた。2018年3月に退職し、同年4月より大正大学表現学部教授。

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