オバマを再選へ導いた、米国リベラルの行方 急進保守に反発し”オバマ連合”が再結集

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リベラリズムの救世主か

この4年間、オバマ政権の政策はリベラル派を失望させてきた。しかし、オバマ大統領がリベラル派の伝統を引き継ぐ大統領であることは間違いない。セオドーア・ルーズベルト大統領が進歩党から大統領選挙に立候補したときに政策綱領に掲げて以来、リベラル派の宿願であった国民皆保険制度を実現させたのはオバマ大統領である。

オバマ連合が民主党に新しい可能性を示したことは事実だ。問題は、今後4年間に、オバマ大統領がフランクリン・ルーズベルト大統領の「ニューディール連合」に匹敵する支持基盤として真のオバマ連合を構築できるかどうかである。オバマ大統領が新しいリベラル派のビジョンを提示できるかどうかが、今後の米国政治の帰趨を決めるだろう。

他方、共和党はオバマ大統領の再選を許したものの、対決姿勢を変える気配はない。保守派は個別の政策よりも原則を重視する傾向がある。それだけに、これからの4年間、共和党は妥協よりも対決を選ぶ可能性が高い。

当面は、年末で期限が切れるブッシュ減税の取り扱いをめぐって、オバマ政権と共和党のつばぜり合いが展開されるだろう。オバマ大統領は富裕層への増税や中間層への減税を主張するが、共和党首脳は徹底抗戦の構えだ。ほかにも、共和党の政策と対立する問題は多い。

評論家のチャールズ・カドレック氏は「今後数カ月でオバマ大統領がどのような答えを出すかで、リベラリズムの救世主になるか、最後のリベラル派の大統領になるのかが決まる」と指摘する。

オバマ大統領には勝利の美酒に酔う余裕はなさそうだ。
 

中岡 望 ジャーナリスト

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なかおか・のぞむ / Nozomu Nakaoka

国際基督教大学卒。東洋経済新報社編集委員、米ハーバード大学客員研究員、東洋英和女学院大学教授などを歴任。専攻は米国政治思想、マクロ経済学。著書に『アメリカ保守革命』。

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