「本当のお金持ち」は目立つことを好まない おカネで買えない信頼は「気配り」でつかむ

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以前、ある超富裕層の投資家と会食をしているとき、時計の話題になったことがあります。

その人は日頃からお金持ちアピールをほとんどなさらない人で、街中を歩いても上品なサラリーマンくらいにしか見えません。時計も黒革のベルトに白い天板のとてもシンプルなものを着けていました。

普段、時計をほとんどしない私ですら「ちょっと欲しい」と思ったセンスのいい時計だったので、何気なくメーカーを聞いてみたところ、なんと世界最高峰のパテック・フィリップ製。気づかなかった私にも問題があるのでしょうが、余裕で高級車一台が買える代物であるにもかかわらず、主張しすぎない、とても落ちついた佇まいの時計だったのです。

「どうりで心が動かされたわけですね」と唖然とする私に、その投資家が言われたセリフが印象的でした。

「まあ、今日は近しいメンバーと会うだけだからこれにしたけど、普段はグランドセイコーくらいだよ。基本的にあまり目立ちたくないんだよね。変な人たちが寄ってくるからさ」

金持ちアピールを避ける最大の理由は安全面

このように、大富豪が金持ちアピールを避ける最大の理由は、実は安全面についてです。おカネを稼ぐことにデメリットがあるとすれば、悪い人間を呼び寄せてしまうことでしょう。

私が小さいころテレビで人気者だった城南電機の故・宮路年雄社長は、ダイヤ入りの特注ロレックスを身に付け、ロールスロイスに乗り、いつも数千万円の現金を持ち歩いていると公言してはばからない豪快な社長でした。ただ、あとあとになって宮路社長は何度も強盗に遭っているという話を聞いて子どもながらに恐怖を感じた記憶があります。

海外であればこの傾向はさらに顕著になり、「これ見よがしタイプ」の金持ちはボディーガードと自宅常駐の警備員がいるのが当たり前。単独行動するときはいたって地味な恰好をします。

直接的な強盗被害にあわなくても、誘拐、投資詐欺話、美人局、謎の親戚の出現など、悪だくみをする人間はいくらでも湧いてきます。そういった危険をいかに遠ざけるかも大切なことです。

また、あまりに派手な恰好をすると妬み嫉みで意味なく敵を作る恐れもあります。本人は何もしていないのに「あいつ嫌味なやつだな」と思われてしまうこともあるでしょう。本当の大富豪はできる限り敵を作りません。自己顕示欲を満たしてチヤホヤされるよりも、謙虚な振る舞いをしたほうがはるかに得る物が大きいことを知っているのです。

信用や好感を買って、より大きなリターンを得る。こちらも投資発想と言えます。

次ページ周りに気を配っているかは、お店選びにも表れる
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