世界のエリートは「座禅」で何を得ているのか

無我、無心になることの意義とは

川上 全龍(かわかみ ぜんりゅう)/マインドフルネス講師。米日財団日米リーダーシップ・プログラムのメンバー。1978年生まれ。米アリゾナ州立大学宗教学科卒業。2006年に京都・妙心寺春光院にて英語での座禅会を始める。米国著名ビジネススクールの学生やグローバル企業の経営者を含む年5000人に禅の指導を行う

──座禅のよさとは。

無我、無心の境地に至れる。無我、無心とは何も考えないのではなくて、物事をすべて客観的に見ることができる境地だ。メタ認知、つまり自分の思考や行動そのものを客観的に把握し認識することは、もう一段高みを目指すうえで絶対に必要だ。トップアスリートがインタビューに答えて、自分のことを第三者的に評することがある。座禅は主観を排した精神状態に持っていくためのトレーニングになる。

人はどうしても確証バイアスで動く。今の自分の考えを証明する都合のいい証拠ばかりを探してしまい、反証情報に注目しない傾向が強い。さらに、いいと悪い、敵と味方などと二元論に走る。そうしないよう、心を落ち着かせるために座禅が有効になってくる。

禅は「型を作ってはダメ」

──禅宗には戒律があるのでは。

座禅は何かに到達するのではなくて、自分の精神を安定させるための第一歩なのだ。定期的にやっていかないと意味がないし、もともと禅は戒律的なものではなく、“型を作ってはダメ”が教えだ。禅に固定観念を持つこと自体、禅の道から外れている。仏教はこうでなくては、禅はこうでないとと、頭の中にカテゴリーを作らない。つねに自分の信条や行動を客観的に見て、改善すべきは改善していく。いいところは継続することだ。

──習慣は生活を楽にします。

習慣は確かに時間とエネルギーの節約にはなる。だが、何年修行した、何年この仕事をしていると強調するのは固定観念にはまっている証拠。見直してみると意味がないことも多い。諸行無常の考えとつながっていくが、つねに自分も変わっていくし、周りも世の中も変わっていく。いいと思い込んだ習慣やルーチンによって、苦しまなくていいところで苦しんでいることも少なくない。

──座禅見直しはマインドフルネス人気による後押しもあります。

マインドフルネスは、神秘的な部分を省いた「科学的に検証された瞑想」といっていい。ただ座禅という伝統的な瞑想と、やっていることは変わらない。現代人の考え方に合った瞑想として科学的な裏付けが重要になっている。

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