バラマキとえこひいき「悪さ加減の選択」 子ども手当てだけじゃない、減税だってバラマキだ!

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それでは政治家は期待にどう応えるか

有権者の期待は、政治家によって選択的に実現される。当然、期待をかなえられない有権者も数多くいる。

そんな有権者から見れば、特定の集団に対する利益の提供は、許しがたい「えこひいき」に見えるし、ある特性を持った「個人」に利益が提供されることは「バラマキ」として批判の対象となる。どちらにしても有権者全員を幸せにするものではない。

斉藤淳『自民党長期政権の政治経済学』(勁草書房、2010年)
日本のえこひいきの内実について、ご自身の衆院 議員としての経験をも踏まえて深く分析した本

従来は、自民党が特定の集団(それは特に農村部に偏在するとされる)に、えこひいきをしながら自らへの支持を強固にしてきた。

一方、民主党がやろうとしたことは、自民党が続けてきたえこひいきをやめることでもあった。しかしそれだけでは、次の選挙で自分たちが有利になるかはわからない。そこで、自分たちを有利にしてくれる有権者の期待を実現するため、バラマキを進めようとしたのだ。

今の民主党は揺らいでいる。原因は、自民党・公明党が多数を握る参議院で議事を思いどおりに進めることができず、約束したバラマキが実現しないことである。

バラマキができず、それを期待した有権者を失望させ、民主党に対する支持が失われる。実績をテコとした期待へのフィードバックが働かないのだ。

民主党には、よりわかりやすい支持を獲得するために自民党時代の有権者と政治との関係に回帰し、新たなえこひいきの担い手になろうとする動きもあろう。しかし、これも簡単ではない。

次の選挙で民主党が負けてしまったら、ちょうど政権交代後に一部の自民党の支持集団が補助金を減らされたように、今度は民主党を支持した集団が痛い目を見るかもしれないからだ。政権交代が現実になったことで、えこひいきは有権者にとってもリスクの高いものになったのだ。

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