トランプ大統領「誕生リスク」を検証してみた 人気は本物だがあまりにも予見不可能すぎる

✎ 1〜 ✎ 104 ✎ 105 ✎ 106 ✎ 最新
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

 英国式の分数で示すオッズは少しわかりにくいので、JRAのような単勝式の倍率に替えておいた。民主党のクリントン候補が1.33倍と「鉄板」の銀行馬券だが、2番手のトランプ候補の3.5倍も意外と来そうに見える。事実上、この2頭の戦いと見て良いだろう。

その一方で興味深いことに、出馬していない政治家の名前が入っている。例えば現職のバイデン大統領の名前が出ている。万が一、私用メール問題で新しい証拠物件が飛び出したりしたら、司法省はクリントン候補を起訴することとなり、民主党は急きょ他の候補者を立てなければならなくなる。そこで対抗馬のサンダース上院議員をというと、党内がとても収まりそうにない。ゆえにバイデン副大統領が、「いざというときの隠し玉」として位置づけられているのである。

同じことが共和党側にも言える。7月18~21日にオハイオ州クリーブランドで行われる党大会は、あっと驚く「出たとこ勝負」となるかもしれない。共和党主流派(エスタブリッシュメント)の間では、トランプ候補を担ぐのはさすがにイヤだ、党大会にも出たくない、あんな候補者では議会選挙や知事選挙が心配だ、などという声が少なくない。そこでサプライズ候補者を担ぎ出すシナリオが囁かれている。その場合、もっとも多くの党員を納得させられそうなのがライアン下院議長というわけだ。これから党大会までの2カ月間は、共和党主流派とトランプ候補の間で腹の探り合いが続くことだろう。

ということで、ざっくり言えばヒラリー・クリントン氏が勝率60%くらい。トランプ氏にも25%程度の勝ち目があって、残り15%が「番狂わせ」と考えておけばいいだろう。もっともこれは現時点での話であって、大統領選挙投票日は11月8日、半年も先のことである。

繁栄から取り残された白人中高年層

大本命クリントン氏は「過去の人」の印象が付きまとい、民主党内の支持は勢いを欠いている。選挙戦術や演説もけっしてうまいとは言えないので、彼女が勝手に転んでトランプ大統領誕生、というシナリオは無視し難いものがある。アメリカの有権者は、「実績のクリントン」対「変化のトランプ」の場合、果たしてどちらに魅力を感じるのだろうか。

共和党内のトランプ人気が「本物」であることは疑うべくもない。これまでの予備選挙で獲得した票の総数は1113万5876票で、6月7日に予定されているカリフォルニア州予備選などの票を合わせると、代議員数の過半数を獲得することはほぼ間違いない。しかも共和党予備選挙における過去最高の得票数は、2000年選挙におけるジョージ・W・ブッシュ大統領の1080万4210票であるから、トランプ氏はすでに新記録を樹立したことになる。

次ページどうなる、日米関係
関連記事
トピックボードAD
マーケットの人気記事