開成の学生は世界一、ハーバードよりも優秀

開成学園 柳沢幸雄校長に聞く

勉強方法も生徒任せで、「手と口は出さないが、目で見ている」のが教員のスタンス。生徒がよっぽど道を踏み外しそうにならない限り、こちらから手をだすことはありません。そういう意味では放任主義です。もしかしたら、「面倒見の悪い学校」かもしれませんね(笑)。

――「自主性」の育成は学力向上よりも難しいようにも思えますが。

「自主性」の育成で大切な役割を担っているのが先輩とのコミュニケーションでしょう。教員が指導するよりも先輩の背中を見て学ぶ方が手っ取り早い。生徒からすれば、先輩は最も身近なロールモデルになります。先輩がどう過ごすのかを見て学ぶ。そこで重要視しているのが部活動や文化祭実行委員などの課外活動です。

例えば部活動が最もよい例です。中高一貫校としては珍しいかもしれませんが、運動部は中高で分けていません。一応、顧問の教員はいますが、実質的な指導を行うのは先輩です。できれば生徒には何らかの部活動に入って欲しいと思っています。そのために様々な種類の部活動を設けています。

開成生の通過儀礼、「元服式」とは

柳沢幸雄(やなぎさわ・ゆきお)
開成学園校長
東京大学工学部助手を経て、ハーバード大学教授に就任。ハーバード大学ではベストティーチャーにたびたび選出される。その後、東京大学大学院で教授に就任した後、現職。

ところが、うちのグラウンドは他校と比べても狭い。その狭いグラウンドを多くの部活が取り合うものだから、野球部でも週に1回練習するのが限界です。それに土曜日も試合があって、授業を休まなきゃならないこともある。制約された環境の中で、自らを律しつつ、どう練習と勉強を両立させるのか。「上手な時間の使い方」を先輩から学ぶ。同じ部活の中で東大に進学した先輩がいれば、自然と「自分でもやれるはず!」と思うわけです。

他にも、開成生にとって一大イベントは、5月の体育祭です。体育祭は8組に分かれた対抗戦なのですが、中学1年生から高校3年生までの1学年8組による縦割りです。すべてが生徒の手によって運営され、各々の役割分担が明確に割り振られています。

体育祭では高校3年生が陣頭指揮をとって、高校2年生が裏方を担います。初めて参加する中学1年生も中学2年生の振る舞いをみて学びます。とにかく「先輩の背中を見て学ぶ」という「自主性」が6年間を通して身についていく。特に高3生にとっては後輩を指導して一つのプロジェクトを成し遂げる「大人」への通過儀礼です。私はこの体育祭を「元服式」と呼んで重要視しています。

――後輩と先輩が一緒に過ごす機会は多いですね

今の子どもはどうしても同年代とばかり遊ぶことが多い。昔は年の離れた子ども同士でも遊ぶことが多かった。開成では意図的に高校3年生と中学1年生が交流する機会を多く設けています。中学に入学したらいきなり他校とのボートレース大会がある。そこでいきなり応援歌と開成の校歌を覚えさせられます。

その後、すぐに体育祭がある。とにかく入学してから先輩の指導を受けるイベントが目白押しです。ところがその先輩も夏の部合宿ではOBにしごかれている(笑)。そこで連綿と続く先輩たちの背中を見て育っていくんです。

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