開成の学生は世界一、ハーバードよりも優秀

開成学園 柳沢幸雄校長に聞く

――ところが東大を卒業してみると、米国エリート大学と渡り合うほどの人材育成が行われていないように思えます。

唯一と言っていいかもしれませんが、開成生の弱点がそこでしょう。開成から、東京大学に進学する生徒は約半数。東大生全体の生徒数からしても約7%を開成生が占めています。これはどういうことかというと、中高から大学へ「ステージが変わった」という実感が湧きにくいんです。東大の銀杏並木を歩いていると、開成生としょっちゅう顔を合わせる。

なぜ東大生は米国エリート大学生に勝てないか

中高時代と唯一違うのが「大学受験」という重しがないということだけです。おまけに単位は米国の大学と違って簡単にとれる。資格の取得などのインセンティブが無ければ勉強には目が向きにくいのが現状です。

また、大学生になっても親元から通学する生徒が多い。これが親の「子離れ」を阻害しているようにも思えます。本来なら、高校卒業時点で親元を離れるのがベストです。仕方ないことかもしれませんが、経済的・精神的に楽な実家通学を選ぶ生徒が多い。

――大学に入って一人暮らしをすることはやはり大切でしょうか?

一人暮らしから学ぶことは多い。まずは、当たり前ですが「親のありがたみ」。当然、炊事、洗濯、掃除などを自分でやらなければならない。それに一人暮らしでは経済的に困窮する。「今まで自分が豊かに暮らしてこれたのは親のすねのおかげだったんだ」と気付くわけです。

私なんかもそうでした。おカネがなくなって困ったら、ご飯にしょう油を掛けて「和食だ」とか。ソースなら「洋食」、ラー油をかけて「中華だ」とかなるわけです(笑)。ここまでしろ、とはいいませんが、「今の恵まれた環境は自分たちの力じゃないんだぞ」と認識して欲しいと考えています。

私は生徒の両親には「開成生はもう一人前の大人です。18歳になったら家から無理矢理にでも出してください。ご両親はのんびり旅行にでも出かけてください」と言っているんです。

――これからの開成生はどうなっていくのでしょうか

ここにきて、開成生の目は海外に向き始めています。やはり、開成から東大に進学してみて、高校時代と大きく環境が変わらず「物足りない」と感じている生徒もいます。彼らは、ハーバード大学などの一流大学のサマースクールを受講して「海外で勝負したい」と感じているようです。

この傾向は歓迎すべき事だと思います。私は開成の6年間で培った「開成イズム」は世界に通じると信じています。

(撮影:大澤 誠)

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