住友商事がJ:COM非上場化のナゼ

狙いは配当の山分け

住友商事が10月24日に発表した、持分法適用会社でケーブルテレビ最大手、ジュピターテレコム(以下J:COM)に対するKDDIと共同のTOB(株式公開買い付け)。

J:COMへの出資比率は現在、住友商事が40.46%、KDDIが31.08%となっている。内外の競争法に基づく必要な手続きを終えた後、2013年2月上旬にTOBが開始される予定で、成立すればJ:COMは住友商事とKDDIの折半出資となり、上場廃止となる。

現金なしのディール

記者会見の席でJ:COMを管掌するメディアライフスタイル部門のトップ、大澤善雄専務(=写真右=)は、TOBの結果、J:COMの成長が加速して経営がより安定すると説明。さらにこのディールが現金なしであることを強調した。

設立以来ヒト、モノ、カネを注ぎ込んで育ててきたJ:COMの経営権をKDDIと半々で分け合う代わりに、住友商事が得るのは、持ち分が10%増えることによる連結取り込み利益の増加(12年12月期見通しで39億円)、と配当金の増加(同17億円)。創業時の合弁相手、米リバティが10年にKDDIへの全株売却を明らかにした際、筆頭株主となるために1221億円をTOBに投じたことを考えると、対価が小さく見えてしまう。しかも、非上場化でJ:COMの財務は劇的に悪化するのだ。

今回のスキームは、まずKDDIが708億円でJ:COMの株を住友商事と同シェアになるまで買い付ける。その後、住友商事、KDDIが折半出資する特別目的会社NJが、銀行借り入れで調達した1451億円を使って残りの株式を買い付ける。非公開化してからJ:COMがNJを吸収するが、このときJ:COMのバランスシートは、まず1451億円の負債増となる。NJの資産はJ:COM株、つまり自己株なので資産計上できず資本の部にマイナス1451億円が加わることになる。

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