進化続けるロングセラー、味の素の強み 国内食品事業が気を吐く

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味の素は今秋、「Cook Do」ブランドに「きょうの大皿」シリーズ4品を追加した。独自素材が煮汁をアルカリ性に変え、ジャガイモ・ニンジンの細胞壁を壊すことで煮汁をしみ込みやすくするほか、ジャガイモ内のでんぷんを短時間で糊化してホクホクした食感を作り出す。「いずれは海外食品にも展開したい」と伊藤雅俊社長が語るほど自慢の技術である。

値引き競争を回避

そして、「ギョーザ」(=左写真=)にも今秋、水を使わずに焼ける新しい技術を導入した。冷凍食品は一般的にスーパーで5割引が当たり前の、利幅の薄い商品だ。だが、独自の付加価値を付ければ、極端な値引き競争に巻き込まれにくくなる。ギョーザのほかにも、自然解凍できるグラタンなどを弁当用に販促するなど、独自性を訴求している。

小売り各社の自社企画(プライベートブランド=PB)商品が売り場の棚を奪っていく中、食品メーカーのブランドが生き残るには、際立ったブランド力と差別化商品を生み出す開発力が不可欠である。味の素の答えは、定番のロングセラー商品に最新のテクノロジーを投下し続けること。一見地味に見える食品メーカーだが、競争力の源泉はやはり技術力にある。

(撮影:引地 信彦)

 

平松 さわみ 東洋経済 記者

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ひらまつ さわみ / Sawami Hiramatsu

週刊東洋経済編集部、市場経済部記者を経て、企業情報部記者

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