韓国の大企業は、なぜ栄枯盛衰が激しいのか 「大規模企業集団」30年の歴史を振り返る

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この30年間にわたる韓国国内30大企業が記されたリストを見ると、その変貌は激しい。上位の企業はそれほど変化がないが、中・下位圏の企業のランキングが激しく入れ替わった。

4月3日に公正取引委員会が発表した「2016年相互出資制限企業集団(大規模企業集団)の現況」によれば、2015年基準で資産総額が5兆ウォン以上の企業集団は65社。関連会社は総計1736社。資産は前年比79兆ウォン(約7.9兆円)増となる2337兆ウォン(約233兆円)となった。

これら65社合計の財務状況を見ると、前年よりは改善している。負債比率は低下し、当期純利益は増益となった。当期純利益は55兆ウォン(約5.5兆円)、前年比約13兆ウォン(約1.3兆円)の増益。しかし、売上高は3年連続の減収となり、65社の売上高総額は1403兆4000億ウォン(約140兆円)で前年比6.8%減。売上高が減少し、純利益が増える「不況型」黒字だ。

420社から1036社へ

大規模企業集団としてリストアップされる基準は、「資産総額5兆ウォン(約5000億円)以上」だ。かつては4000億ウォン(約400億円)以上だった。2002年に2兆ウォン(約2000億円)になり、2009年に5兆ウォン(約5000億円)へと引き上げられ今に至っている。

1986年までは、30大企業に挙げられた企業のなかにはグループ内企業が2、3社しかないところもあった。それは、いわゆる「たこ足企業」と呼ばれる前の、大企業による拡張政策がとられる前だったためである。当時の30大企業のグループ内企業を合計すると420社。2015年のそれは1036社だ。

売上高では、サムスンが348兆2000億ウォンと前年に続きトップ。現代自動車が209兆7000億ウォン(約21兆円)となり、韓国電力公社(208兆3000億ウォン、約20兆円)を抜いてナンバー2となった。前年28位だった東部(トンブ)グループは構造調整の影響で45位に転落。ロッテは活発なM&Aを繰り返し、4位のLGの背中が見えてきた。サムスングループから4社を買収したハンファは、大企業集団の中で資産額を増やしている。

1986年当時の30大企業のうち、現在まで生き残っているのは10社。サムスングループは、「大企業のうちの1社」から「ダントツナンバー1」企業となった。1993年までは現代や大宇に続いて資産規模では3位だったサムスンは、1994年に初めてトップに立つ。グループ内上場企業の時価総額でも1993年には現代、大宇、ラッキー金星(現LG)に次いで4位だったが、1994年にトップになって以降、今でもナンバー1の座を保っている。

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