日銀黒田総裁が「追加緩和」を見送った理由 「マイナス金利はいくらでも深掘りできる」
[東京 28日 ロイター] - 日銀の黒田東彦総裁は28日の金融政策決定会合後の記者会見で、市場で一部期待が高まっていた追加緩和を見送った理由として、1月に導入したマイナス金利の効果を見極めるためと説明した。
金融政策は金融機関のためにやっていない
一方、2%の物価目標達成のためには「量・質・金利」による追加緩和を辞さない姿勢を示し、市場の期待をつないだ。金融機関からのマイナス金利への批判については「金融政策は金融機関のためにやっていない」と一蹴した。
日銀は今回の決定会合で2016年度の物価見通しを大幅に引き下げ、2%の物価目標達成時期を従来の「2017年度前半」から「2017年度中」に、事実上後ずれさせた。景気・物価の見通しについても「下振れリスクは、引き続き大きい」と認めた。
それにもかかわらず追加緩和を見送った理由について総裁は「所得から支出への前向きな循環メカニズムは維持されているため」と説明。さらに、金融市場が不安定であり、マイナス金利による金利低下による企業などの「前向きな変化が現れにくい」として、「今回の会合では、政策効果の浸透度合いを見極めていくのが適当と判断した」と説明した。