アップル「13年ぶり減収減益」は意外に深刻だ 再浮上への手はすでに打っているが…
決算書類のサマリーを見ると、日本市場以外のあらゆる市場で、売り上げが落ちている。特にアップルにとって第2の市場となった中国に至っては前年同期比で26%の下落だ。
中国については市場の混乱を含む景気後退が顕著になっているようだ。米国でも年初から景気回復に遅れが指摘されてきた。こうしたことを背景に、高付加価値の個人向け製品が中心となっているアップルは大きな影響を受けたものと考えられる。これまでは、リーマンショックのような巨大逆風を軽々と乗り越えてきたアップルだが、今となってはその力を減退させているということだ。
iPhone以外はすでに下降トレンドだった
台数の落ち込みも目立つ。iPhoneは5110万台で、前年同期比で18%の減少だ。ただ前年同期の6117万台は、同社の第2四半期(1-3月)決算としては突出して好調だったことには留意が必要だ。この期は、大画面化されたiPhone 6シリーズの売り上げが絶好調だったタイミング。筆者はiPhoneの大画面化は、絶対に売り上げを拡大できる「伝家の宝刀」だと表現してきたが、この刀は1度しか抜けない。
実際、アップルも、2016年第1四半期決算の際に、第2四半期のiPhone販売が前年割れをすることを予め述べている。今回、その会社予測通りになったわけだ。
iPadやMacは、ここ最近は各四半期で前年を下回るようになり、そのトレンドを引き継いだ数字が現れている。特にiPadは1025万台で19%減と、強い需要からの反動があったiPhoneよりも落ち込みが大きい。ティム・クックCEOは度々、iPadの下降トレンドは底打ちに近いと語ってきたが、今期もその観測は裏切られた。
一方で、アップルは、すでに手を打ってはいる。3月21日のイベントで、製品ラインアップに対して「テコ入れ」ともいえる製品を投入した。それが、iPhone SEとiPad Pro 9.7インチモデルだ。この2つのモデルがどうなるかが、アップル浮上を占う当面の焦点といえるだろう。
この2つの製品はアップルを救うのだろうか。
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