アップル「13年ぶり減収減益」は意外に深刻だ

再浮上への手はすでに打っているが…

前述のように、iPhoneについては「大画面化」という切り札を切ってしまっている以上、その反動で販売台数が下落することは予測されていた。そのため、大画面化だけでなく、ラインアップを充実させる戦略が必要になった。その役割を担うのが3月発売のiPhone SEと見ることができる。

これまでのiPhoneには、ラインナップ戦略と呼べるものはなかった。毎年秋に新型iPhoneを発売し、それを1年間販売し続け、旧型モデルを2世代残して廉価版として併売する、というものだ。

毎年、ユーザーのスマートフォンの使い方や習熟度に合わせながら、じっくりと良いモノを作る、というシンプルすぎる方法論を続けてきたに過ぎない。しかし、それでも、先進国市場では4割のシェアを獲得し、スマートフォン産業の大半の利益を1社で独占することに成功してきた。この単純明快な方法論が行き詰ったことにより、製品ラインナップを増やす必要が生じた。それが2016年の春だったと見ることができる。

利益よりも台数を重視する戦略に

iPhone SEは、既存の4インチのiPhoneのデザインに、最新のiPhone 6sの機能を盛り込み、低価格に設定したスマートフォンだ。399ドルに設定された16ギガバイト(GB)のiPhone SEの組み立て原価は160ドル、499ドルの64GBモデルは170ドルと推定される。300ドル台に収めたスマートフォンから239ドルの差額を確保する。組み立て原価と販売価格に500ドル以上の差額があるiPhone 6s Plusと比べれば、1台あたりの利益はかなり圧縮されることになる。

それでもiPhone SEの販売を伸ばしていくインセンティブは、1台あたりの利益が落ちても、より多くの台数のiPhoneを販売できる可能性を追求していこうという考え方だろう。

実際、iPhone SEは、米国や日本の販売店でも品薄の状態が続いており、作って入荷すれば売れていく、そんな状況になっている。決算発表の場でも、予測していた以上の需要がある点を指摘しており、生産が追いついていない様子がうかがえる。

iPhone SEと9.7インチのiPad Pro。この2つの新製品は再成長への起爆剤になるだろうか

また、iPhone SEを含む販売台数の拡大は、決算書におけるサービスセグメントの売り上げ拡大に直結する。アップルのサービスセグメントとは、クラウドサービスiCloud、App Store、Apple Music、iTunes Storeなどでのオンラインコンテンツ販売、製品保証のAppleCare、決済手数料収入のApple Payである。

サービスセグメントは、この1-3月期も前年同期比で20%増加しており、またホリデーシーズンだった前期からも1%減と、季節変動が小さい。特に、音楽定額サービスであるApple Musicはについては1300万人の有料ユーザーを集めたと具体的な数字を示した。直近の2カ月で200万人の増加を記録したことになり、ユーザーの増加も勢いづいているようだ。

ここからiPhone SEが担う役割が見えてくる。

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