原発再稼働のハードル 新潟県知事が念押す

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政府や原子力規制委員会は現状、来年7月までに原発再稼働のための安全基準を定めたあと、できるだけ速やかに再稼働を行いたい意向にある。ただ、電力会社は周辺自治体との間で安全協定を結ぶ必要があり、最終的な再稼働の判断は自治体の理解を前提として、政府が行う方向となっている。その意味で、柏崎刈羽原発を抱える新潟県の泉田知事の言動や地元住民の反応は極めて高い重要性を持つ。

池田長官との会談を終えて記者団と会見した泉田知事は、原発再稼働の大前提としてまず福島原発事故の徹底検証を強調。それなしに新たな安全基準を作ることは「順序が逆」と訴えた。また、東電の事故後のテレビ会議を全面公開することも要求した。

さらに、先週に規制委員会が公開した重大事故時の放射線物質拡散予測(シミュレーション)について、福島事故並みではなく、最悪事態を想定した予測にすべきと修正を求めた。今回のシミュレーションにおいて新潟県は、政府が目安とするUPZ(原発の重大事故に備え、避難や屋内退避などを準備する緊急時防護措置区域)半径30キロメートル圏の外にある魚沼市などにも基準を超す放射線拡散が予測されているが、これまでの地域の防災計画についても見直す考えを明らかにした。

こうしたさまざまな注文や要望に対して、原子力規制委員会がどのように対応していくかが今後の焦点となる。それ次第で再稼働の見通し、タイミングは大きく左右されそうであり、新安全基準の期限である来年7月末から大きくずれ込む可能性も高い。

泉田知事の記者会見の詳細は以下のとおり。

--今日の要望の内容は。

福島原発の悲惨な事故は新潟県民にも敏感に伝わっている。原発は止まっているときも安心はできないので、万一への対応は早く決めてほしいとの要望を行った。

もう一つは、福島事故の検証が終わらないうちに安全基準を決めても、何のための基準なのか性格がはっきりしない。規制庁の池田長官からは、来年7月に安全基準を制定してもこれで終わりではなく、その後も随時見直しをするという話だった。今回、質問形式の形で規制委員長宛てに要望書を提出したので、キャッチボールをさせてもらいたい。ハード的なものだけではなく、誰がいつどんなタイミングで判断するかなど、福島の教訓を盛り込んだ体制をつくってほしい。

 

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