武器としてのコミュニケーション〔その2〕

の2点を、「毎日」「手短に」業務報告させていました。残念ながら、一人ひとりと向き合える時間はせいぜい15分程度しか作れなかったからです。それでも、ほとんどの部下は期待に応え、わかりやすい業務報告をしてくれていました。ところが1人だけ、

「すてきな経営者にお会いしました。私にとってあこがれの存在かも」
「今日は何もない1日です。天気が悪くて気分も落ち込みがちです」

と、トンチンカンな報告ばかりする部下がいました。そのため毎日のように、

「もっとしっかり報告しなさい」

と注意していましたが一向に直りません。上司の私は頭を抱える毎日でした。ただ、今となって振り返ってみると、原因は上司の側にあったようです。部下に対して目的を別の言い方で伝えたところ、意図を理解して業務報告の内容が変わったからです。

「業務報告とは? 君のために行っているのだよ。わかる?」
と、トンチンカンな業務報告をする部下に対して目的を再確認しました。さらに、
「上司は部下をサポートするのが仕事。そのために1日の仕事内容を知りたいのだ。叱ったり、注意したいのではない。君の成長のためにしっかり考えて報告してほしい」

この言葉を伝えた翌日から、
「今日は3社のお客様を訪問して新たな商談が1つ見つかりました。その会社から来週中に見積もり依頼をいただいたのですが、同行いただけますか?」

と、業務報告の内容が劇的に変わりました。トンチンカンな部下はこれまで、1日の出来事を全部伝えればいいとしか認識していなかったようでした。上司のほうが仕事コミュニケーションが下手だったと大いに反省させられた出来事です。

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