日本の新たな防衛戦略が近隣諸国との関係を悪化させるとの見方もある。実際に数カ国がすでに懸念を表明している。中国外務省の洪磊報道官は、日本のこの新たな取り組みが「平和、発展ならびに協力を基調とする現代の潮流との調和を欠く」とコメントした。
韓国外務省の報道官も「(韓国の)要請や同意を抜きに」、朝鮮半島で日本が集団的自衛権を行使することは「決して容認できない」とした。また、北朝鮮の国営メディアは安倍首相の改革が「他国侵略への道を開く」ことを企図したものだと伝えた。
ただ、安倍首相の方針への反対のすべてが、安保法の内容に基づいているわけではない。安保法案を可決・成立させた過程の正当性が問題視されている側面もある。ある調査によると、回答者の67%が与党側による採決の手順を容認していない。安倍内閣が国民への法案説明に「十分な努力」をせず大多数の有権者の批判を無視したことで、日本の民主主義体制への信頼を傷つけたとの感情が広がっているのだ。
また、回答者の51%は安保法を容認しない理由として、安倍首相が改正したがっている当の憲法9条に違反している点を挙げている。これらの有権者は安保法の廃止を強く求めているわけではない。その一部は実のところ、首相が憲法改正に成功すれば、態度を軟化させる可能性もある。
国民は安保よりも景気に関心
また、安保法に反対する人々が廃止賛成にまで踏み込まない裏には、シンプルかつ現実的な理由もある。対立的な議論によって、他の重要課題から政府の注目がそらされることは避けたい、と日本人の多くは考えているのかもしれない。
2015年第4四半期(10〜12月期)の日本経済は予想以上に縮小し、株式市場も今年に入って以来混乱している。政府は有権者が本当に関心を持っていること、つまり景気を好転させ社会保障制度を守ることを、優先させる可能性がある。
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