地方を支配している「ヤンキーの虎」とは? 「マイルドヤンキー」を超えるやつらがいた

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かく言う私も、初めは彼らの存在に気づいていませんでした。

私は講演会や、投資教育の一環としての勉強会などのため、年に120日くらい地方出張する生活を20年以上送っています。そこで地元の人たちと名刺交換をすると、「〇〇興業」とか「△△ホールディングス」といった、一見しただけでは何をしているのか分からない企業の名刺をたくさんもらいます。

ただ裏側を見てみると、不動産業、ガソリンスタンド、介護施設、居酒屋、携帯電話販売、コンビニ経営、パチンコ店などなど、雑多な業種がズラーっと並んでいるのです。もう何が本業なのか分からない状態です。

「いろんな商売に手を出して必死に稼いでいるんだろうな」

当初はそんな受け止め方でした。

しかし、ある時、こういう人たちがどこの地方にもいることに、ハタと気付いたのです。

地縁・血縁をフル活用、複数の業態を手がけ巨大化

観察していると、何年間も増収増益を続けており、金回りも非常にいい。主に販売系の会社を複数経営し、地元のマイルドヤンキーたちの雇用の受け皿になっているのです。私は「彼らのようなヤンキーの虎たちがどの地方にもいて、疲弊する一方の地方経済の中の、唯一にして最大の希望なのだ」と確信するようになりました。

「ヤンキーの虎こそ疲弊する一方の、地方経済の中の、唯一にして最大の希望」と力説する藤野社長

改めて彼らの生態を分析してみましょう。彼らは、事業欲は旺盛ですが、地元に根付いたビジネスを手掛けています。「地方で成功したから、これからは東京に進出してもう一旗揚げよう」とは考えませんし、「俺たちの技術やビジネスモデルで世界を変えよう」などという壮大なビジョンもありません。もちろん最先端の技術を持っているわけでもない。

彼らの武器は、なんといっても地縁・血縁をフル動員した強力な販売力です。それを生かせる販売系や飲食系の企業を複数手掛けてガンガン稼ぎ、あくなき事業欲により「ミニ・コングロマリット(複合企業)化」しているのです。前述のように彼らは東京に進出しようとは考えないので、東京からは見えにくい存在です。また、地方の人々にとっては彼らは当たり前すぎる存在です。

地方在住の人なら、身の回りに2~3人は思い当たる人がいるのではないでしょうか。ただ、そういう人が、自分が住む地方だけでなく、全国津々浦々にいることには、気が付いていません。それが「ヤンキーの虎」がこれまで「ステルス化」していた原因なのです。

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