はとバス「新型2階建て」、欧州製使用の狙い 8000万円で共同開発、25日から運行開始
ヨーロッパ製のバスをそのまま輸入するのではなく、共同開発としたのは車体のサイズなどを日本の法規に合わせるためだ。日本の道路運送車両の保安基準では、自動車は車幅2.5m、高さ3.8m、長さ12mを超えてはならないとされている。
だが、ヨーロッパのバスは日本と比べてサイズが大きく、たとえばバンホール社のヨーロッパ仕様の2階建てバス「TDX25アストロメガ」は幅2.55m、高さ4m、長さ13.1mで、国内の基準を上回ってしまう。今回はとバスが導入したアストロメガは、車幅2.5m、高さ3.78m、長さ11.99mと日本国内の基準に適合したサイズになっている。
アストロメガは1台の価格が約8000万円。国産の平屋の観光バスは約3600万円のため価格は高いものの、人気の2階建てバスのため、秋には2台を追加するほか、今後も増やしていく予定という。
増えるか?外車のバス
最近は訪日外国人客の増加や貸切バスの運賃制度改正などに伴い、観光バスの需要が増加。あるバス業界関係者は「新車は納車まで1〜2年待ちになることもある」と話すほど、観光バスの不足が叫ばれている。
今回のアストロメガの開発が始まったのは4年半以上前のため、近年の観光バス需要の急増とは関係がないという。だが、バスが不足している状況の中で、今後海外製の観光バスが注目を集めることは考えられそうだ。スカニアジャパンのヨハン・ルンデン社長は「バスの特需があるのはいい環境ではあるが、もっと長期的な視点で、国内でも導入が増えるよう努力していきたい」と語る。
海外製のバスを導入する事例は少しずつ増えてきている。目立つのは、2車体をつなぎ、1台で多くの乗客を運べる「連節バス」だ。国内のメーカーでは製造されていないため、東京都内や千葉、岐阜、兵庫でダイムラー社製などヨーロッパメーカーの車両が使用されているほか、スカニア社製もオーストラリアのバスメーカー、ボルグレン社の車体と組み合わせた連節バスが新潟市の新バスシステム(BRT)で導入されている。
このほか、アジア各国メーカー製のバスも進出しており、貸切バスや高速バスとして韓国・現代自動車製の観光バスの導入例が増えてきているほか、中国メーカー製のEV(電気自動車)バスも京都で運行されている。
最近は訪日外国人観光客による貸切バス需要の増加や、東京・新宿の交通ターミナル「バスタ新宿」の開業など、バス交通に対する注目が高まっている。2階建てバスや連節バスのような国内で製造されていないバスをはじめ、今後海外メーカー製のバス導入が増加する可能性は、十分にありそうだ。
(写真は記者撮影)
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