被災地・女川の水産業をカタールが再建支援
「漁業はもうだめだ、再生はできないんだ、女川にいたってしゃあねえと、いろんなことを考えた」。女川魚市場買受人協同組合の�橋孝信理事長は当時を振り返る。52社あった組合員企業のうち、被害を免れたのはたったの3社だけ。水産業関係者と議論を重ねるうちに、水産業を建て直すにはまず冷凍・冷蔵倉庫の再建が不可欠であるとの認識に至った。
共同の冷凍・冷蔵庫を使用することができれば、各社が個々に再整備をすすめるよりも負担が軽減できる。共同の大規模施設を建設し、それを核にして女川の水産業の再建を図る方法が見えてきた。そこに、被災地支援を続けていた日本財団の紹介により、中東・カタールによる「カタール フレンド基金」に応募する話が持ち掛かった。
カタール フレンド基金とは、カタールが被災地の復興の取り組みに資金援助するもので、総額80億円(1億米ドル)の寄付により設立。三菱総合研究所が事務局となり、岩手県、宮城県、福島県における「教育」、「健康」、「水産業」の3分野のプロジェクトを支援対象としている。
カタールは世界最大の液化天然ガス(LNG)供給国で、日本にとってもマレーシア、オーストラリアに次ぐ天然ガスの主要な輸入相手国。原発事故後の2011年には輸入額が前年比1・7倍の7669億円に増え、LNG総輸入額の16%を占めるまでになっている。