被災地・女川の水産業をカタールが再建支援
日本有数のサンマ漁獲量を誇りながら、東日本大震災で甚大な被害を受けた宮城県牡鹿郡・女川町。10月15日、中東のカタールからの資金援助を得て、津波対策を施した冷凍冷蔵庫「マスカー」が本格的に操業を開始した。「震災以降、初めて建設された大型施設。我が町の産業再生に向けた大きな“のろし”となる」(須田善明・女川町長)と、地元は期待を寄せる。
「マスカー」(=下写真=)は20億円を投じた最新鋭の施設だ。通常、冷凍冷蔵庫を設置する1階は荷捌き室になっており、2階部分に冷凍・冷蔵庫、3階に避難場所を設けている。津波の際は1階外側のパネルが外れて津波の力を受け流し、建物を支える柱だけが残るという、100年に1回襲来するレベルの津波に耐えうる構造になっている。施設の建設を担当した大成建設はサンマの水揚げの最盛期に合わせ、4カ月という短期間で竣工にこぎ着けた。
カタールの伝統的な漁法にちなみ「マスカー」と命名
女川町では、水産業が町内総生産の9割を占める基幹産業になっており、人口の半数が水産業に携わる。しかし、東日本大震災による津波の被害により、1万人あまりの人口のうち800人を超える死者を出したうえ、水産加工施設も壊滅的な被害を受けた。個々の水産関連企業の冷凍・冷蔵施設は総計5万3000トンの貯蔵能力を持っていたが、その8割が震災によって機能を喪失した。