シャーロック・ホームズの思考術に学ぶこと これは人生のバイブルになる本かもしれない

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しかしもちろん、最大の贈り物は、切れ味鋭いホームズの思考術が理解できたことである。脳の中を常に整理しておき、観察し、想像し、推理する思考術。あなたも自分の専門分野くらいは、周囲が括目するような成果をあげたいだろう。本書は、最新の心理学と脳神経科学の見地から、ホームズの思考術とは何かを説明し、誰しもが陥りがちなワトスンの思考術から抜け出す方法を教えてくれる。一見難しそうだが、心配することはない。誰にでもできると書かれている。つまり、本書は希望の書なのである。時間はかかるかもしれないが、決して難しい話ではない。該当箇所を引用する。

“私たちの脳はいつまでも、新たな回路を成長させ、使われない回路を取り除くことをやめない。そして、私たちが強化する領域は、いつまでも強くなっていく。先にも本書で述べた、使うとともに強くなっていく(が、使わなければ衰える)筋肉──それまでまさかできるとは思わなかったような、目をみはるほどの力わざができるほどに鍛錬することも可能な筋肉──と似ている。 ~本書「終わりに」より”

人間の脳の秘めた力は驚異的だ

そう書いた後、中年の物理学者が絵を学び始め画家となった話や、5000万部以上を売り上げた『ウォーターシップ・ダウンのうさぎたち』の作家が52歳でデビューした話、60歳でオリンピックに初出場したアスリートが72歳までに金2個銅1個のメダルを獲得した話などを列挙する。そして、何といってもホームズがいる。継続的な努力は必要だが、正しく注意力を傾注すれば、目指すことが起こる。それだけ、人間の脳の秘めた力は驚異的だと本書は説く。

“もうおわかりのように、ホームズの洞察はほとんど何にでも応用できる。すべては態度、マインドセット、思考習慣、自分が発展させる世界への辛抱強いアプローチなのだ。それに比べると、何に応用するかという点ははるかに重要度が低い。 ~本書「終わりに」より”

正しく鍛えれば、脳はいつでも強化することができる。どんなに偏った経歴の方でも、高齢な方でも、この卓越した思考術を獲得することができるそうなのだ。あとはただ、そこを目指すかどうかなのだ。ホームズは私立探偵であり、推理することにそれを応用している。私も私の専門分野で、それを応用したいと思った。世の中には、効率化や金銭的解決などのショートカットする手段が溢れているが、それ以外の方法で成果を出せるようになりたいものである。そうなりたいと願う人にとっては、本書はバイブルになる。

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