中国で日系企業が悲鳴 デモに続き不買広がる

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 尖閣諸島は日本が実効支配していたにもかかわらず、わざわざ中国を挑発して「領土問題」を顕在化させてしまったのは日本政府の失態だ。野田政権は国有化をいまさら撤回できず、解決は次期政権に先送りされる公算が高い。中国は、日本が否定してきた領土問題の存在を認めることを求めてこよう。そのうえで領有権は従来どおり「棚上げ」で手を打つしかあるまい。時間が長引けば、それだけ日系企業のシェアを欧米や韓国の企業に奪われることになる。

今後も中国市場の開拓は日本企業にとって最優先の課題だ。が、これだけリスクが高まる中で新たな投資に踏み切るのも難しい。

そこで注目されるのは、中国と東南アジア諸国連合(ASEAN)諸国の間の自由貿易協定(FTA)が今年末までにほぼ完成形になることだ。日本総合研究所の大泉啓一郎・上席主任研究員は、「日本からの中国輸出をASEANの拠点に移管させていくのが、賃金上昇や反日リスクなど中国での生産に伴うリスクを避けるうえで有力な選択肢となる」と指摘する。

中国市場を粘り強く開拓しつつ、リスクを最小限に抑える。圧倒的なハンデを背負う日本企業には、そんなしたたかさが、これまで以上に求められている。

(本誌:西村豪太、冨岡 耕 =週刊東洋経済2012年10月6日号)

記事は週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。

 

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