中国で日系企業が悲鳴 デモに続き不買広がる
自動車は工場休止
が、自動車のような高額商品では当分、日本ブランドは苦戦を余儀なくされそうだ。各地のデモで日本車が破壊されたことは現地でも伝わっており、反日意識がない消費者でも購入に二の足を踏む可能性が高い。
日本自動車工業会の豊田章男会長(トヨタ自動車社長)は20日の記者会見で、「販売への影響は出るだろう。普通にショッピングリストに挙げてもらえる状況に早く戻ってほしい」とコメント。不買運動への警戒感を示した。
中国は自動車の世界最大市場だ。震災の影響などで低迷した日本勢にとって今年は、シェア奪還に向け「攻め」に転じるはずの年だった。日本車で中国販売トップの日産自動車は12年に前年比8.3%増の135万台の販売を計画。トヨタは同11.7%増の100万台を目指している。その先には大幅な生産能力増強も計画中だ。
だが、日本車への逆風を受けてトヨタ、日産は国慶節の連休を前に、早々と生産調整に入った。トヨタは26日から、天津と広州の生産拠点を休止。日産も中国の生産拠点三つを27日から止めた。共に10月8日から再開するが、足元の販売状況を見て稼働時間の調整を行う可能性が高い。
イオンは出店を継続
上海近郊に生産拠点を構える化学品メーカーの幹部は「日本車販売の不振を受けてトヨタや日産からの注文は、10月には昨年の半分くらいになるようだ」と語る。
厄介なのは、売り上げの落ち込みが確実視される一方で、原料確保の必要も生じていることだ。一部では中国側が通関手続きを遅れさせているとの情報もあり、それを見込んで原料を前倒しで仕入れたり、納期を早めるなどの対応が必要になっている。「そこに大幅減産となると、倉庫があふれることの心配もしなければならない。頭が痛い」(同)。