中国で日系企業が悲鳴 デモに続き不買広がる
日本製品の不買による実害も広がりつつある
仏流通大手カルフールは、デモが活発化した18日前後に商品棚から日系メーカーの食品を矢継ぎ早に撤去した。贈答品向けの菓子などを展開する不二家は、「日本商品ということで敬遠されており、今後の売り上げへの影響が心配」と肩を落とす。
「地元テレビ局や新聞が日本企業の広告出稿についてキャンセルを要請してきた」。広告代理店大手の電通も状況の悪化を肌で感じている。自動車や精密機器を中心に広告やイベントを控える動きが広がり、消費者へ商品訴求ができない状態だ。北京では書店から日本関連の書籍が一斉に撤去されるなど、影響は文化の領域にまで出始めた。
一方、旅行・航空業界では中国旅行の予約減少が顕著だ。JTBによると、デモ以降にキャンセルが増えて9月の申し込みが前期比2割減と低迷した。全日本空輸と日本航空を合わせた日中間の路線は、9~11月の予約キャンセルが5万7000席を超えた。全日空は機材を小型化し、日航は成田−北京など3路線で減便して対応を急ぐが、業績への影響が懸念されている。
デモの影響による工場停止や不買運動などの影響は、全体でどのくらいになる可能性があるのか。大和総研は日本の国内総生産(GDP)を0.2%程度引き下げる可能性があると試算した。前提は、対中国輸出(年間で約12兆円)が1カ月停止して、1兆円程度のマイナスとなること。それが関連産業に波及することで、国内生産は2.2兆円減り、中間投入を除いたGDPは8200億円押し下げられる。