クックパッド労組は経営にモノ申せるのか IT大手で異例の誕生、その権限と存在価値

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それでも経営の不具合が労働者の雇用や労働条件に重大な影響を及ぼすか、そのおそれがある場合は、経営者の進退も義務的団交事項に含まれる余地はある。

過去には、ヤマハにおいて労働組合の動きが社長の解任につながった事例がある。当時社長を務めていた川上浩氏に対し、組織改革の失敗、ピアノやエレクトーンといった主力事業の販売不振、バブル期に手掛けたリゾート開発の不振などの責任を問い、労働組合が「出処進退申入書」を提出したのである。その結果、川上氏は社長退任を表明し、新社長への社長交代劇が実現した。

経営陣に大きなプレッシャーを与える

現時点でクックパッド労働組合が経営権に意見することはないにしても、労働組合が結成されたことは、経営陣への大きなプレッシャーとなるだろう。たとえば現経営陣が労働組合に加担した者を解雇するようなことがあったら、直ちに団体交渉を行える。

したがって、会社と交渉を行うに先立ち、社員としての地位を守る、という意味では労働組合結成の意味があったことは間違いない。このように見ていくと、昔ながら企業内労働組合は縮小しているのかもしれないが、これだけをもって労働組合が衰退しているとは断言できなさそうだ。

パートタイム労働者の労働組合加入者が年々増加していることも、労働組合の新たなトレンドとして定着していくであろう。かつて、村上ファンドのように経営陣に対して「物言う株主」が注目を集めたが、次は「物言う労働組合」が脚光を浴びる時代が来るかもしれない。

榊 裕葵 社会保険労務士、CFP

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さかき ゆうき / Yuki Sakaki

東京都立大学法学部卒業後、上場企業の海外事業室、経営企画室に約8年間勤務。独立後、ポライト社会保険労務士法人を設立し、マネージング・パートナーに就任。会社員時代の経験も生かしながら、経営分析に強い社労士として顧問先の支援や執筆活動に従事している。

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