森トラスト章社長、後継に末娘を選んだ裏側 40代の伊達美和子氏、「港区の大家」を舵取り

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伊達氏が主導して手掛けた京橋トラストタワー

――伊達新社長が率いる森トラストの今後のプロジェクトは。

当社では今後、三つのプロジェクトで建坪50万平方メートルほどの開発があります。うち、20万平方メートル規模のパストラルは2020年の東京オリンピック前の竣工。赤坂ツインタワーの建て替えはオリンピック後。三田でやる再開発は、品川周辺が整備されることもあって遅いほうがいいのでいちばん後。

――今の不動産業界の環境をどう見ますか?

非常に気をつけなきゃいけない局面だね。金利がタダみたいな時ですから、不動産を買えるんですよ。今やろうと思えばどんどんできる。利益は膨らむ。会社は大きくなる。そのかわり、借金も膨らむ。

マイナス金利には危険な側面もある

マイナス金利だから、家賃は上がりにくいのに、土地の価格はしばらく上がるということが起こる。一方で、中期的に見て本当に土地代に見合う立地なのかというと、だんだんハズレが多くなるわけです。

だから、いま、上場企業のサラリーマン社長さんは、本当に難しいでしょうね。同業他社がいいのに自社だけ取り残されると株主に責められるから、一緒にどんどんやらないといけない。でも同時に借金は膨らむ。中国経済と全く同じです。シャープでいえば堺工場です。

で、気をつけられるかどうかですよ。みんながワーワーやっている時に、自分のところだけ冷静でいられるかということ。森トラストは、非上場だからそれができる。自分のペースでやればいい。だから、経営管理が重要です。いま収益をあげるのは簡単ですけど、企業をどうやって持続させるか。

――低金利で、拡大しようとすればどんどんできる時だからこそ、会長として注意して補佐すると。

そうそう。私が森ビル行ったのは、1972年の過剰流動性の時だったんです。ところが、翌年には石油ショックで、猛烈な貸し渋りとマイナス成長。2年で両極を体験した。

かつては銀行という他律要素があったんですが、いま銀行はマイナス金利下でいくらでも貸すから、それに気を付けなさいよってことです。セルフコントロールするしかない。それが、なかなか難しい。

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