喝!ワーママは「特権階級」ではありません 28歳・昼まで勤務の公務員女性に激辛回答

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あなたにはやってみたいプロジェクトや積みたいキャリアがあるということです。でもそれは、ひとりではできない業務であり、「必ずみんなの倍の生産性で取り組んでみせます」とまでは言いにくいのではないでしょうか。厳しいことを言うようですが、会社はあなたに意地悪をしたくて、あなたに仕事を任せないのではなく、まだそういった組織の全体最適に目を配る視点や視座に欠け、自分最適な主張をするあなたを冷静に見て、「今はまだ無理だろう」と評価しているのではないかと思うのです。

短時間で生産性を高め、キャリアを積むことは超難題

「短い時間で生産性を高めながらキャリアを積む」ということは、あなたが思うよりずっと難しい。世の中のワークライフバランスに悩む人たちが、その事情が育児であれ介護であれ、みんな悩み苦しみながら取り組んでいるテーマです。勤務歴が短く基礎になるキャリアもほとんどなく、周囲の半分の時間で働くあなたには、働くということにいったいどれほどの覚悟がありますか? あなたの2倍働く「独身」で「制約のない人」たちは、どれほど努力し、勉強して仕事に取り組んでいるか、理解しようとしていますか? もし本気で仕事を通じて成長したいのであれば、「肩身だけでなくチャンスも狭い」なんて言っている場合ではないのではないでしょうか。

申し訳ないのですが、やはり何度ご相談文を読んでも、あなたの覚悟が伝わってきません。きっと育児をしながら働くうえで、ご家庭や保育の問題、お子さんの体調など、ここには書かれていない個別の事情もあるのでしょう。また、あなたは私が感じているよりずっと業務効率の高い、能力のずば抜けた人なのかもしれません。ただ、ため息をつきながらちょっと愚痴を言って共感してもらいたいと考えただけなのかもしれません。

でも、あなたは決して弱者ではない。権利を行使することができる環境にいて、周囲にも迎え入れられて職場復帰し、仕事を続けることができているのは確かなのです。周囲はあなたをどう見ているのでしょうか。「あなたたちは時間制約なくたっぷり仕事ができて、チャンスもあって幸せね!」なんて口が裂けても言ってはいけません。感受性が疑われますよ。

自分で選んだ働き方。その質と量。そこから先のチャンス。そういった事実をきちんと踏まえ、まずは目の前の仕事で成果をあげることです。その姿勢を周囲は必ず見てくれています。自分以外の人を見て羨ましがる暇なんてないんですよ。そんな暇があったら、生産性をあげるためにしゃかりきに努力するべきです。

ワーキングマザーだけでなく、時間的に制約のある人たちの働き方はまだまだ開発されているとは言えません。あなたの言うように発展途上のいばらの道かもしれない。だからこそ、私たちは覚悟を持って、そして自分できちんと決断・判断しながら、その道を切り開いていかなければならないのです。その自覚があれば、私にこんな相談はしてこないと思うなぁ。

この覚悟の緩さでぼやかれると、はっきり言って腹立たしい。まだたったの28歳。キャリアを積むチャンスをつかむために、今あなたにできることは何なのか、自分自身でよくよく考えて行動してみることでしょう。くれぐれも後に続く「新しい働き方」をする人たちの道をふさぐことのないように! 社会の荒波の中で闘っている人たちの現状にも向かい合い、ぜひ認識を新たにしていただきたいと思います。

堂薗 稚子 ACT3代表取締役

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どうぞの わかこ / Wakako Dozono

1969年生まれ。1992年上智大学文学部卒業後、リクルート入社。営業として多くの企業を担当し、数々の営業表彰を受ける。管理職として、多様な雇用形態の組織の立ち上げやマネジメント、『リクルートブック』『就職ジャーナル』副編集長などを経験。2004年第1子出産。2007年当時組織で最年少、女性唯一のカンパニーオフィサーに任用され、事業責任者、「リクナビ派遣」編集長を務める。2010年に第2子出産後はダイバーシティ推進マネジャーとして、社内外女性のメンターを務めつつ、ワーキングマザーで構成された営業組織の立ち上げ、マネジメントを担当し、彼女たちの活躍を現場で強く推進した。経営とともに真の女性活躍を推進したいという思いを強くし、2013年退職。株式会社ACT3設立、代表取締役。女性活躍をテーマに、講演や執筆、企業向けにコンサルティングなどを行っている。2013年2月、リクルート在籍時に東洋経済オンライン「ワーキングマザーサバイバル」連載に登場。FBのいいね!数が6000を超えるなど、話題となった。

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