アップル依存に不安、揺れる部品メーカー、うまみもリスクも大きい両刃の剣
ついに発売された米アップルの最新スマートフォン「アイフォーン5」。シリーズ累計販売台数が2億5000万を超えるお化け商品を支え、好業績を謳歌してきたのは日本の電子部品メーカーだ。だが、アップルへの依存が高まる中、リスクも顕在化してきた。
アイフォーン5発表の前日、9月11日に東証マザーズを上場廃止となった企業がある。
中堅電子部品メーカーのシコーだ。同社は8月10日、負債総額85億円を抱え、東京地裁に民事再生法を申請。同日会見した白木学社長は 「昨年9月、スマホのモデルチェンジを機に大口受注が突然なくなった。2カ月半後に同じ会社から別の大口注文が入ったが、今度は中国工場の人員を短期間で集めるために多大なコストがかかってしまった」と、無念の表情で経営悪化の一因について述べた。この大口受注先はアップルであるとみられている。
シコーは携帯電話やスマホに搭載する小型カメラの自動焦点用モーターがアイフォーンやアイパッドに採用されて急成長。2010年12月期には過去最高の売上高140億円(前期比50%増)、営業利益16億円(同24倍)を計上した。だが、翌期は一転。大口受注先の仕様変更に振り回され、14億円の営業赤字に転落し、経営破綻に追い込まれた。