貧困問題を解消するには、空き家を活用せよ

「下流老人」著者が提言する格差是正の処方箋

若者に関していえば、親と同居する理由で約半数を占めるのは、「家賃が負担できないから」であった。低所得であればあるほど、親と同居している。そして所得が低く、親と同居しているほど結婚の予定がないと回答しており、少子化につながっている可能性もある。

生活困窮者にとって住む家があるというのは、大きなよりどころとなっている。家を失ったり、家賃を支払えなくなったりすると、精神的に追い詰められてうつになる場合が多い。生活困窮者の住宅対策は非常に重要だ。

ところが、現状の制度はあまりに手薄と言わざるをえない。生活保護を受ける場合に家賃として支給される住宅扶助や、昨年4月にスタートした生活困窮者自立支援法に定められた離職によって家を失う可能性がある場合の住宅確保給付金(有期)くらい。貧困に転落した人に対する救貧制度のみで、貧困転落を回避する防貧制度はないのが実情である。

収入に占める住居費を1~2割に抑えられると生活に少し余裕が生まれ、より多くのおカネを教育費や老後資金に回すことができる。ではどうすればいいのか。

空き家を積極活用せよ!

海外では公営住宅や低家賃の住宅があり、家賃補助制度も整備されている。一方、日本では公営住宅が圧倒的に足りない。2013年度の公営住宅の応募倍率は全国平均で6.6倍、東京都は23.6倍と、生活困窮者であってもなかなか入居できない。

そこで筆者が注目しているのは空き家の活用だ。総務省「住宅・土地統計調査」によると、2013年の空き家は全国で820万戸、総住宅に占める割合は13.5%に上る。折しも政府は3月18日、今後10年の住宅政策の指針として「住生活基本計画(全国計画)」(計画期間:2016~25年度)を閣議決定。その中で「空き家を含めた民間賃貸住宅を活用して住宅セーフティネット機能を強化」という文言が盛り込まれた。ただしその具体策については明記されていない。

住生活基本計画のパブリックコメント(意見募集)では、家賃補助制度を求める声もあった。しかし、国土交通省は「家賃補助制度については、民間家賃への影響、財政負担などに課題があり、慎重な検討が必要である」と回答している。

住宅は最大の福祉制度であると筆者は考えている。一歩ずつでも少しずつでも、社会投資としての住宅整備をしていく必要がある。

生活水準を上げるために貢献するはずの「教育」も、貧困の原因となりつつある。2012年度のデータでは大学生の52.5%が奨学金を利用している。7割以上が有利子貸与だ。2012年時点で日本学生支援機構の奨学金返還の延滞者は33万人超に上る。

教育を受けるために高い学費を払い、高額の奨学金を借りる若者が多い。だがその教育に見合った仕事に就けるかどうかは不透明だ。そして返済は何年も続く。

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