課長から上の出世は「評価より評判」だった! ヒラ社員とは違う「出世基準」
また、もうここまででいいや、と出世を諦めるデメリットも知っていただきたいと思います。そのひとつが、生涯賃金の減少です。現在、多くの企業は、単一の職務や等級に年齢も組み合わせながら「レンジシート」という給与額の幅を設定しています。これは成果主義に合わせて導入された仕組みで、端的に言えば、給与の「天井」が決められているということです。しかもこの「天井」に達する年齢は、今後は30代へと下がっていきます。
つまり、出世しなければ年収の天井は低くなり、天井に達して以降は下がる一方。しかも、その減り幅はあなたが想像しているよりも、大きく急激です。
こちらの生涯賃金カーブのグラフを見てください。
グラフを見ると、年収が天井に到達し、そこでキープされる年数は平均7年といったところ。この最高年収が続く期間を長くするためには、役職を上げていくしかありません。管理職にならず、天井時点での年収が400万円台だったとすると、50代半ばから定年までの年収は300万円前後に落ち込みます。そして再雇用後にはさらに下がっていきます。
もちろん給与や権限などは二次的要素ではありますが、出世の有無によって生涯賃金に非常に大きな差が出るということは知っておきたい大事な点です。
昇格基準は課長から明確に変わる
役員への出世の道を上れるかどうかは、これまでの経験にほぼ関係なく、“ここからの働き方”で決まります。ここは非常に重要なポイントです。
というのは、課長未満のポストと課長以上のポストでは、その選考基準がまるっきり違うからです。
一般的には、「課長」以上を管理監督者として扱っており、「経営と一体的な立場にある者」とみなされます。管理職になるということはつまり、シビアな言い方をすれば「使われる側」から社員を「使う側」へと変わることになるわけです。実際、人事の世界では、課長未満のポストへの昇進基準は「卒業基準」、課長など管理職となる段階からの昇進基準は「入学基準」と呼ばれ、明確に分けられています。簡単に言えば、社員を「従業員」として認識し、会社のおカネを「自分のおカネ」と思って大切に使えるのが、管理職です。ですから、課長は経営層を目指す入口。私が「課長になるということは、会社人生で二度目の採用試験を受けるようなものだ」と言うのもこういうわけなのです。
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