燻る消費増税延期論、財政再建公約は反故?

増税延期=同日選のシナリオが消えない

年間80兆円の増加ペースという、すさまじい規模の国債を日本銀行が買い占めても、事態は好転しない。金融政策の限界が強く意識される中、アベノミクスの軸足は少しずつ財政出動に移りつつある。

「日本の累積債務は大きいが、財政出動すべきだ。金利がマイナスということは、財政出動のニーズがあるということで、債務の懸念はゼロではないが、自国通貨で借り入れているかぎり、ギリシャのような危機は起きない」

3月中旬に開催された安倍首相肝いりの国際金融経済分析会合で、米ニューヨーク市立大学のポール・クルーグマン教授はこう述べた。

「無責任な金融政策と大胆な財政政策」の誘惑

1998年に同教授は「将来高い物価水準を目指すために、中央銀行が無責任になることを、信用してもらえる形で約束できれば、金融政策は効果を持つ」と述べていた。が、15年に米紙に「日本再考」というコラムを掲載し、無責任な金融政策と大胆な財政政策の組み合わせが必要だと、軌道修正を図った。

だが、仮に消費増税を見送り、当座の消費低迷は避けられたとしても、日本財政の持続可能性の問題が消えてなくなるわけではない。

財務省が15年に財政制度等審議会に出した日本財政の長期推計によれば、60年度以降に債務残高対GDP比を安定させるためには、現行制度を前提とすると、20年度時点で必要な収支改善幅は、GDP比で9.53~11.12%、50兆円程度になる。

次ページどうなる?基礎的財政収支の公約
政治・経済の人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • コロナ後を生き抜く
  • 溺愛されるのにはワケがある
  • iPhoneの裏技
  • 大槻奈那先生、金融の修羅をゆく
トレンドライブラリーAD
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
香港問題めぐり米中激突<br>加速するデカップリング

6月30日、「香港国家安全法」が施行されました。「一国二制度」の下での高度な自治が失われたとして、西側世界と中国の対立は一気に深まっています。米中経済の分離は、サプライチェーンの見直しなど、グローバル企業にも大きな変化を迫りそうです。