「お勉強会」で学んだ安倍首相は次にこう動く 今度は財政を使いデフレ脱却を目指すべきだ

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安倍首相の勉強会に呼ばれたクルーグマン氏が、勉強会の議事を公開した。官邸は慌てたとの話も聞くが、国民のための勉強会なのだから、議事録は官邸が責任を持って和訳し、すべてを伝えるべきだろうし、ネット中継されてもいいはずだ。

同氏が、議事録を公開したのは、「クルーグマン氏は、……のように言っている」と発言をつまみ食いして伝えられることにウンザリしたからではないかと思うので、同氏の発言に乗っかった議論をするのは気が引けるが、彼が言っていることは、一般教養科目のマクロ経済学の教科書を読んでいたら十分「なるほど」と理解出来るオーソドックスな話だった。

第二の矢は逆方向に放たれ、傷は癒えていない

筆者なりに要約すると、(1)(金融緩和は必要だが)金融政策だけでは限界がある、(2)財政拡大を積極的に行うべきだ、(3)財政拡大は各国が協調して行うことが望ましい(特に日本はやるべきだ)、(4)日本の財政が心配だという考えは当面ばかげている、(5)財政拡大については「やりすぎ」(=インフレが行き過ぎる)る方が「やらなすぎ」(=デフレに戻る)よりも低コストで解決出来る方法があるので、仮に間違えるなら「やりすぎ」方向に傾斜すべきだ、ということである。

もともとゼロ金利下では、日銀がハイパワード・マネー(現金通貨と日銀預け金の合計)の供給を増やしても、銀行貸し出しが増えずに、日銀当座預金残高が無駄に増える(=ブタ積み)ことが問題だとされていた。この場合、財政を拡大して需要を増やすと、銀行貸し出しが増加し、市中に出回るマネーが増えて、経済をインフレ方向に導くことが出来る。オリジナル・アベノミクスの「第一の矢」(=金融緩和)と「第二の矢」(=財政出動)は、もともとこのような関係にあった。

ところが、安倍政権は(決めたのは民主党政権だったと言いたいだろうが)、2014年に消費税率を5%から8%に引き上げ、財政拡張の反対をやってしまった。「第二の矢」は逆方向に放たれたのだ。痛いっ! そして、その傷が癒えていないのが、現在の日本経済の姿だ。

経済学部出身ではない読者には、先の要約(3)に少々補足がいるかも知れない。複数の国の存在を仮定するマクロ経済学では、為替が変動相場制の下では、一国が財政拡張を行うと、その国の通貨が高くなって貿易収支が悪化し、せっかく財政で追加した需要が、いわば外国に流出してしまうとされているのだ。これは、現実にはその通りであり、財政拡張を行う場合には、円高を招かないように金融緩和を行う必要があるし、各国が足並みを揃えて財政拡張を行うことが出来るなら、それがより望ましい。

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