介護付き有料老人ホームと連携医療機関が、「経営的メリット度外視」で入居者の「多剤併用」対策を進める深刻背景
1日に、20錠以上もの薬を服用する高齢者。水と薬でお腹が膨れてしまい、食事量が減り、日中の活動量が落ち、排便や睡眠にも支障が出る――本来生活の質を改善するための薬が、高齢者では苦痛のタネになっているケースがある。
複数の疾患を抱えることが多い高齢者では、治療のために薬の種類が増えがちだ。こうした状態のことを「ポリファーマシー(多剤服用)」と呼ぶ。日本老年薬学会によれば、高齢者における多剤併用は、副作用などの有害事象につながるリスクがある。
そうした状況を改善できないかと、処方薬の見直しに取り組む介護付き有料老人ホームがある。2024年に上場した有料老人ホームの運営を行う、アズパートナーズだ。
DX化で得られたデータを有効活用
同社がポリファーマシー対策を始めたきっかけは、社内における介護のDX化が進み、客観的データが集まるようになったことにある。
ナースコールや介護記録、入居者のベッドに設置する見守りセンサー(パラマウント社の「眠りコネクト」)を使った睡眠や離床の通知などを、スマートフォン上で一元的に確認・記録できるシステムを、17年に開発した。データの統合は現場の若手社員の発案によるものだった。
DX化の効果は、夜間の定時巡視の削減によるスタッフの負担軽減や、巡視によって中断されがちだった高齢者の睡眠の質を改善することにとどまらなかった。蓄積されたデータを分析することで、入居者の生活の質を高める新たな知見が得られるようになったのだ。
たとえば、これまで十分に意識されていなかった、食事、水分、運動、排泄、睡眠の相関関係が見えてきた。データの活用によって、これまで介護士や看護師の経験に頼る部分が大きかったケアも、客観的根拠に基づいて判断できるようになった。新人の職員でも、適切な対応をとりやすくなった。
データ活用を進める中で浮かび上がってきた課題が、ポリファーマシーだった。






















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